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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
10章・王国東部でアレコレと
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テレサの下へ行くと、憔悴し座り込んだ見習達の姿が目に入る。


意外と女性貴族の生活って平民には正確には伝わっていないから、指導役のテレサはともかく、今ではすっかり侍女役が板についているエレナや、領主夫人で自分達の警備対象でもあるセリアーナにここまで圧倒されると、そりゃ落ち込みもするだろう。


エレナは【浮き玉】の操作を俺に譲り、セリアーナにタオルを渡しに行っているし……どうしたらいいんだ?


「姫」


「っはい⁉」


テレサの声に慌てて答えたが、ちょっと声がひっくり返ってしまい、テレサが不思議そうな顔をしている。


「姫、彼女達に【祈り】をかけていただけませんか?消耗したままでは訓練が出来ませんので……」


彼女達が憔悴しているのは、精神的にもだが疲労と痛みのせいでもあるんだろう。

俺の時と違って、布を巻いたりしていなかったし、手加減をしても痛い事は痛い。


「了解……ほっ!」


【祈り】を発動すると、見習達にテレサ、ついでに少し離れた所にいるセリアーナ達にも届いた様で、皆薄っすら光っている。


「⁉」


それを見て驚く見習達。

兵士達は昨年の襲撃の話を聞いていたのか、あまり驚きはしなかったが、彼女達は違ったようでしっかり驚いている。

これは驚くとしたら一回目だけだからな……驚いてくれて使った甲斐があったが……。


「ありがとうございます。彼女達は……まだ動けない様ですね」


まだへたり込み、肩で息をしている。


「この有様で大丈夫なの?」


一方こちらにやって来たセリアーナは平気な顔をしている。

集団戦の前に全員と一対一をやっているのに……。


「問題ありません。最初は皆こうですよ。これから一月かけて、最低限は動けるように仕上げますから、ご安心ください」


セリアーナの懸念を払拭するかのように、自信たっぷりに問題無いと答えるテレサ。


冒険者見習いの時も似たようなやり取りがあったな……。


「そう、ならいいわ。まだ時期にも余裕があるし急ぐ必要は無いから、しっかり鍛えて頂戴」


「お任せください」


と、やっぱり自信気に笑みを浮かべて答える。

それを受けて、セリアーナは鷹揚に頷いた。


「結構。汗を流すわ。エレナ、セラ、行くわよ!」


そしてそう言うと、こちらの返事を待たずに訓練所に備え付けられた、シャワールームへと向かって歩き始めた。


……疲れた感じはしないけれど、ちょと機嫌が悪そうだった。

どうしたんだろう?



訓練所備え付けのシャワールームは男女別々になっていて、男性用は知らんが、女性用の方はちょっと豪華だ。


広々とした一室に片面にシャワーブースが有り、床はタイルが張られ魔道具の照明が明るく照らし、ブースの反対側には棚が並び、シャンプーや石鹸、タオルにガウンが置かれている。


中央の空いたスペースには寝台が置かれ、使用人によるマッサージが受けられるし、訓練所の備え付けって割には、前世の高級ジムのシャワールーム顔負けなラグジュアリーな雰囲気が漂っている。


魔境に隣接するこの街では、気軽に運動する事が難しい。

男性客の場合だと、騎士達と共に魔物の討伐に参加したりも出来るが、女性の場合はそれは難しい。

その為、この訓練所は滞在する女性客も利用できるようになっている……らしい。


まだ利用しているのは、俺達だけだからどうなるかはわからないが、今後はあの見習達も使うのかもしれないな。


「あの娘達はモノになるのかしら?」


シャワーを終え、エレナに髪を乾かして貰っているセリアーナがそう言った。

あの場では納得しテレサに任せた様な事を言っていたが、半信半疑だったようだ。


まぁ……あの体たらくじゃね……不安になっても仕方ない。


「大丈夫……と思いますよ?動き自体は悪くありませんでしたから。セラ、この街では住民が外の魔物を倒したりとかはしないんだったね?」


「そうだね。冒険者とか猟師以外はほとんど魔物と戦わないはずだよ」


俺のこの街にいた時の情報は、孤児院周辺だけと大分偏っているが、これは間違っていないはずだ。


「恐らく彼女達は、護身として剣や槍の簡単な扱いは学んだのでしょうが、集団での戦い方は知らないのでしょう。連携が取れず動きがバラバラでした。盾、牽制、止め……慣れていれば即興でもそれらに分かれますからね。テレサならしっかり身に付けさせてくれるでしょう」


「そう……それなら、もうしばらく待ってみましょう。セラ、冷たい飲み物が欲しいわ。奥から取って来て頂戴」


エレナの話を聞き、セリアーナは機嫌を直したらしく、顔に笑みが戻った。


「はーい」


良かった良かったと、ドリンクを取りに【隠れ家】を発動した。

セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・9枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・38枚

エレナ・【】・【緑の牙】・5枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚

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― 新着の感想 ―
[一言] テレサが指導する騎士候補となると全員婚期逃して逝き遅れそうだな・・・
[一言] 候補生の前でもセラを姫呼びするブレないテレサさん。 セリアーナに対しては奥様呼びなので、いきなり聞いた人は混乱しそうw
[一言] まあ、不安にもなるよな
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