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ゼルキスにやって来て早三日。
昨日に続いて今日も俺はダンジョンでの狩りを堪能した。
何となく中層まで行く冒険者の数が少ない気がしていたのだが、気のせいでは無かったらしい。
本来ダンジョンがあるこの街では、季節や天候はあまり関係無いはずなのだが、リアーナ領が出来た事で、その間職人達が出稼ぎにリアーナに出向くため、何となくベテラン勢もその間は休む事になったらしい。
といっても今年からなのだが……。
新しく公爵領という形になったとはいえ、昔からある街なのに旧ルトルはどれだけ蔑ろにされていたんだろうか……。
まぁ、そのお陰で俺はいわば狩場の独占を出来た。
文句は言えないな。
さて、そんな三日目の夜の事。
俺達用に用意された部屋でゴロゴロしていたところ、親父さんの部屋に呼び出された。
「なんだろうね?」
支部長経由でアイテムの事が伝わったのかも?と一瞬考えたが、その事で呼び出されるのなら俺だけだろうし……。
「私も心当たりはありません。昨日今日と商人や職人ギルドの者と話はしましたが、ゼルキスの利益に触る様な事でもありませんし……」
この呼び出しに思い当たるふしも無く、部屋に向かう道すがらテレサに訊ねるが、彼女も同様で首を傾げている。
呼びに来た時の雰囲気から、緊迫したものは感じられなかったし、だからこそわからない。
「まぁ、話を聞けばわかるか」
少なくとも悪い扱いはされないだろう。
◇
「やあ、呼び出して悪かったね。かけてくれ」
部屋に着くと、親父さんはそう言い俺達に着席を促した。
部屋の中には親父さんと、執事のリチャード。
これはいつもの事だが、それに加えてアイゼンとその従者もいる。
息子だし父親の部屋にいること自体は別におかしいとは思わないが、彼がいる時に俺を呼ぶってのはどういう事だろう?
「セラはダンジョン探索は順調かい?支部長から面白い恩恵品を手に入れたと報告があったが……」
自分の席から俺達が座るソファーの向かいに移ってきた親父さんは、ダンジョン探索の進捗について訊ねてきた。
俺はそれに対して適当に答える。
アイゼン達がいるのが気になるが、本題はこれじゃ無いだろうし詳しく話す必要は無いだろう。
しばらくの間、狩りの具合やダンジョンの様子について話をした。
職人達がリアーナに出向いている事に触れた時はテレサも加わってきたが、特に当たり障りのない内容の会話が続いた。
「はっはっはっ。怪我も無いようだし順調な様で何よりだ。君に何かあると娘だけでは無く妻達からも叱られてしまうからね……。さて……セラ、君は明日は何か予定が入っているかな?この2日間朝からダンジョンに籠りっぱなしだろう?」
「はぁ……一応ダンジョンに潜る予定でしたけれど……」
ダンジョンの探索話が一段落したところで、親父さんは話の内容を切り替えてきた。
こっちが本題なんだろうけれど……ダンジョン探索の話から始まって、俺に何かあったら奥さんたちに叱られると続けたが……俺に屋内で何か頼みたいことでもあるのかな?
「父上、ここからは私が」
今まで一歩下がった場所に控えていたアイゼンが前に出てきた。
って事は、彼絡みの事なんだろうけれど……何じゃ?
「明日の昼に領内の貴族や有力商人を屋敷に招いての昼餐会が行われるんだ。君も屋敷で暮らしていたことがあるから知っているだろう?」
「はぁ……」
知らんが頷いておこう。
どうもアイゼンは俺がメイドの恰好をしていたから、普通に来客対応をしていたと思っている様だが……基本的に俺はセリアーナの部屋でゴロゴロしていただけだ。
この家の行事なんてほとんど知りはしない。
その気の無い返事にアイゼン自身は気にしていないようだが、彼の従者であるエールだかエイルだか覚えていないがそんな感じの名前の彼は、アイゼンのすぐ後ろから俺を睨んできた……が。
「っ⁉」
それに対抗したテレサの睨みに目をそらし、視線を下に向けている。
アイゼンと歳はほとんど変わらないだろうし、まだまだテレサに伍する器じゃないか。
「……テレサ」
「はい」
おまけに、とばっちりでアイゼンも顔を少し引きつらせている。
親父さんは全く動じていないあたり、アイゼンまだまだだな。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】・1枚(8)
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・5枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・12枚




