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「それではオレも失礼して……」
既に横になっている王妃様に続き俺もベッドに上がった。
「おおお……⁉」
エリーシャのベッドはセリアーナのと同じでやや硬めのマットレスだったが、これは柔らかい。
俺の体重でも沈むが、極浅くだ。
芯はしっかりしていてこれは中々……。
ベッドの脚やフレームの装飾に目が行ってしまっていたが、これいいなぁ……。
どちらかと言うと柔らかいのより硬めの方が好みだが、これなら丁度いい。
「これでいいのかしら?」
ベッドのクッション具合に気を取られていたが、王妃様の言葉で我に返った。
「っ⁉それで大丈夫です。では、乗っかりますね」
いかんな……大丈夫なつもりだったけれど、この状況に少し浮足立っていたのかもしれない。
まぁ、冷静な方がおかしいかな?
ともかく、今までも失敗はしたこと無いけれど、ちょっと気合を入れなおそう。
「ふんっ!」
一息吐いて覆い被さった。
「ねぇ……この姿大丈夫かな?アホっぽくない?布団かけちゃダメなん?」
いざ冷静になると我が身の間抜けさが気になって仕方が無い。
なんで服着た女性達に見守られながら、ベッドの上で半裸のおばさんに裸で覆い被さっているんだろう……?
「そうね。でも駄目よ。体に影が出来るでしょう?それとアカメ達はちゃんと背中に回しておくのよ」
割と切実な要求もセリアーナにあっさり切り捨てられた。
「はーい……」
中々注文が厳しいな。
「あのさ……せめて剣から手離さない?気になって仕方が無いよ」
護衛なんだろうし仕方が無いとはいえ、裸だからかなんか気配らしきものが背にビシバシ感じる。
ましてそれで剣まで手にかけられたら、落ち着かない。
ひょっとしてこれが殺気ってやつなんだろうか……?
「ふっふ……そうね。失敗されたら困るでしょう?貴方達は下がりなさい」
同じく結構間抜けな姿の王妃様は、しかし威厳を保った声で命令した。
俺に覆い被さられ、両頬に手を当てられているのになんでカッコつくんだろう?
それを聞き、騎士達が下がっていく。
相変わらず視線は感じるが……まぁ、これで少しは施療に集中できるかな?
◇
「ふむ……見事ね。10歳は若返ったんじゃないかしら?」
「本当。いつも若々しいとは思っていたけれど、やはり違うのね!」
王妃様は鏡を見ながら顔や自分の体を見て触ってと変化を確認し、エリーシャも一緒になって盛り上がっている。
何歳なのか知らないが、普段から節制しているのか体型は保っていたけれど、それでも陰りというか曲がり角というか……衰えは見えていたが、上手く解消できたと思う。
最近は膝の上かおんぶスタイルばかりだったが、やはり効果だけならこの方が高い。
少しは体力が付いたのか、1時間集中をしていたにもかかわらず少しは余裕がある。
フィオーラの時はダウンしたからな……。
「ご満足いただけたよーで」
途中ケツを揉まれるハプニングがあったが、いい仕事をした。
見た目だけじゃなくて中身も似ているのか。
「……セラ。足は閉じなさい」
はしゃぐ2人を見ていると、セリアーナからお咎めが。
あぐらはいかんかったか……。
「おっと……失敬。いや……服返してよ」
座りなおしたところでもう裸でいる必要が無い事に気付いた。
慣れって怖いな。
「ああ、そうね。貴方達」
王妃様は、俺の服を持ち側に控えている使用人達に声をかけた。
ようやく我が身に文明が……。
そう思ったのだが……。
「待って頂戴」
王妃様と話をしていたエリーシャからストップがかかった。
「少し従魔を見せて欲しいの。他の種は見た事あるけれど、潜り蛇はまだなのよね。たまにセラの首筋とかを這っているのは見るけれど、じっくり見たことは無いし……」
ベッドに上がり、こちらににじり寄りながらそう言って来た。
「そうね。セリア、いいかしら?」
「ええ。存分に」
王妃様に問われ許可を出すセリアーナ。
……俺の意見は?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・4枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚