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朝起きて食事をとり、用意された服の中からなんとか地味なのを選び、着替えた後はセリアーナの部屋に。
セリアーナの部屋で彼女の客の応対に付き合い、昼食を挟み夜まで過ごす。
夕食をとった辺りで、迎えが来てミネアさんの部屋へ戻り、風呂を済ませ御婦人間の面白ネタを教えてもらい、適当な所で就寝。
そのループ。
客にしたって外国の貴族で、ただ新公爵夫人に挨拶をする事だけが目的だし……セリアーナもそりゃ退屈するか。
「とうっ!」
【浮き玉】に乗ったセリアーナの膝から飛び降り、ベッドにダイブした。
ボフンと一旦沈むも、すぐに跳ね返し体が浮く。
中々の高反発だ。
俺の今の体重ならトランポリンの真似事も出来るかもしれないな。
エレナはアレクと一緒に戦技会の会場が設置されている騎士団の訓練場へ行っている。
そこの一角にある、普段は騎士団内での試合に使われる闘技台が会場になっていて、明日からの本戦はセリアーナも臨席する為、事前のチェックだ。
「……遊んでいないでちゃんと資料を読みなさい。挨拶するのは私だけれどお前もその場にいるのよ?」
そう言うと手に持っていた資料をベッドに投げた。
「へーい……」
資料は戦技会の予選を通った者達の詳細が載っている。
大半が推薦した貴族や商会の専属になっているが、極まれに無所属の者もいて、そういった場合は勧誘合戦になるとか。
「……無所属のが2人居るね。誘う?」
「いらないわ。趣味じゃ無いもの」
「……そう」
写真は無いからイラストだが、多少美化している分を引かなくても、美形じゃー無いね……。
エレナはもちろん、ごついけれどアレクも結構な美形さんだし、ジグハルトやフィオーラもだ。
ウチのお嬢様は面食いだからな……残念ながらこの2人は対象外なんだろう。
「何人か冒険者ギルドで見た人がいるよ。あまり強そうな感じはしなかったけど、実戦だと違うのかな?」
「お前だってそうでしょう?人間相手と魔物相手は全くの別物よ。……お前もそろそろ人間相手の訓練をした方がいい頃かもしれないわね。エレナが戻ってきたら話してみましょう」
何か物騒な事を……でも、観戦はちょっと興味が出て来たかな。
今まで見た事のある対人戦は、圧倒的な力で薙ぎ払っているのばかりだったから、技量の差なんてわからなかったもんな。
◇
ごついにーちゃん達が闘技台の中央付近で雄叫びを上げながら剣を打ち合っている。
刃引き等しておらず、下手しなくても体に当たれば死にかねないのに……ネジ外れてんのかな?
しかし、派手ではあるけれど大味な試合が続いている。
「セラ、どう?」
セリアーナが口を開いた。
何とも気だるげな感じで、退屈さを隠そうともしていない。
「あまり違いが分からないね……。昨日のお爺さんの試合は面白かったけど……」
「……そうよね」
戦技会本戦は、優勝者を決めるのではなく、1勝すればいいらしい。
まぁ、参加者は複数の国からやって来て、それぞれ推薦人も付いている。
最後の1人までやっても角が立つし、無難に終わらせるにはそれがいいとは思う。
ただ、内容が……。
2日にわたって行われるが、同じような試合ばかりで飽きてくる。
基本的に何でもありだが、距離に制限がある為魔法を使う事も無く、ひたすら殴り合いだ。
相手の攻撃を一発受け止めて、反撃の一撃を。
相手もそれを受け止め、同じく反撃。
おそらくそれで相手の力を試しているんだろうが、それを数回繰り返したら、盾を捨て今目の前で繰り広げられているような打ち合いだ。
昨日のお爺さん剣士は、相手の攻撃を躱し、受け流しと技量の高さを見せてくれた。
まぁ、最後は盾を前面に構えたタックルに捕まって、蹴りで吹き飛ばされ敗れたが、あの試合は良かった。
「無難に上品にまとめようとするとこうなるのかしら……?」
「まぁ、ほとんど専属契約しているからねぇ……。ここで腕を売る必要はないのかもね」
通常の武闘会だと売込みも兼ねてあるから、バラエティーに富んだ戦いが繰り広げられるそうだが……なんだろう……肩透かし?
「あ、終わったね」
話している間に決着がついたようだ。
拍手と歓声が上がっている。
目を離していたから決着の瞬間を見逃してしまった。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・【琥珀の剣】5枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・4枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚