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「相変わらず魔物が様子を窺ってはいるが……近付いては来ないな」
「俺たち相手にわざわざ縄張りから出てまで襲って来ることはないだろう」
街道を順調に進んで分岐点も越えて、もうそろそろ北の拠点が見えてくるってところまでやって来た。
下の隊員たちが話しているように魔物の姿や気配はあっても、実際に襲ってくるようなことはない。
「そもそも襲ってくること自体がおかしかったからねー」
俺も彼らの頭上を飛びながら会話に参加する。
この編成なら、北の森の魔物どころか一の森の魔物だって手を出すのを躊躇うくらいだろう。
それなのに昨日は北の森の魔物が襲ってきたからな……。
俺のそのぼやきに、隊員たちも「そうだな」と頷く。
「先行していた商人たちは……別に怪しい物を積んでいたんじゃないよな?」
「らしいぞ。俺もアレク隊長から聞いただけだが、装飾品や布の類らしい。何日か前に一人で領都に向かってたやつがいただろう? 食料の類はそいつがほとんど持っていて、念のために残していた食料を使ったそうだ」
「まあ……馬車がアレだけいたら速度は出ないしな。いくら領都から冒険者を護衛に引っ張っていたからってどうにもならないか」
昨日の帰路に比べると今日は随分と楽だからなのか、気が緩んでいるわけではないが、お喋りしながら笑う余裕はあるようだ。
「そういや、捨てられた木箱も探しておいた方がいいのか?」
そのことをふと思い出したように、一人が俺を見る。
「木箱ねぇ。回収出来るんならその方がいいだろうけど、別に無理する必要はないんじゃない? 入ってたのって食料品なんでしょう?」
もしその箱の中身が薬品だったら、割れたり漏れたりしていたかもしれないし、ちゃんと箱や周囲の土も処理しておいた方がいいだろうが、食料品なら精々匂いが残る程度だ。
遠くから何かを呼び寄せる程の匂いが残っているとは思えないし、この辺の魔物はしっかり倒してしまったしな。
「移動中に見かけたら回収してもいいけど、わざわざ探しに森に入る必要はないよ」
むしろ俺たちが森に入ることで、魔物に限らず森にいる生物を刺激してしまうかもしれないし……無理をする必要はないだろう。
「隊長、今は魔物は寄って来ていないか?」
また別の一人が訊ねてきた。
彼は……出発時に箱を持とうかって聞いてきた隊員だな?
「今? ……うん、少しは気配はあったけど数も少なかったし、森の外に出て来てるのはいないよ」
周囲の様子を伝えると、彼はホッとした様子で「そうか……」と答えた。
周りの隊員たちも気になったようで「どうかしたのか?」と訊ねると、彼は肩を竦める。
「隊長が持ってるのは魔物避けと魔物寄せの薬品だろう? 隊長のことを信用してないわけじゃないが……こういった危険物の運搬は俺たちの方が向いているだろう?」
そう言うと、彼は「悪かったな」と苦笑しながら謝って来た。
これは失礼な話だと怒るべきなのか……それとももっともな話だ……と納得するべきなのか迷うところだな。
どうしたものやらと迷い「むむむ……」と唸っていると、それを見た隊員たちが笑っている。
まぁ……怒るようなことではないな。
「もうすぐ着くからって気を抜かないでよ?」
とりあえず気を引き締めようと皆に向かって注意すると、「わかっているよ」と返って来た。
「拠点に着いてからが本番なんだろう?」
「俺たちが直接戦闘するかはわからないが、魔物がいる森に入る上にすぐ側で大規模な戦闘が起きるんだ。気を抜いたりしねぇよ」
確かに。
彼らは先程からお喋りをしながらも、常に何人かは周囲を警戒し続けているし、緊張感はないが決して気を抜いているわけではない。
彼らが言うようにこれから本番だし、今気を張り過ぎても仕方がないか。
俺は小さく溜め息を吐きつつ「はいはい」と応えておいた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




