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ノックの音に、オーギュストが「入れ」と返すと、すぐにドアが開いた。
「失礼します。……セラ副長?」
「あれ? フィオさんとこの?」
入って来たのは、魔導研究所の職員だ。
あそこの役割を考えたら、そこの職員がここを出入りすることはおかしくない。
フィオーラだってたまにここに来ているしな。
だが……朝っぱらからここに来るってのは珍しい気がする。
つい今さっき地下通路を通った際に、研究所に人の気配はあったが……多くはなかったし、確かまだフィオーラもいなかったはずだ。
この時間に職員だけでここに来るようなことといえば……と部屋に入っていく彼を見ると、小さな木箱とファイルを持っていた。
薬品とかを入れるのに使う木箱だが……それを持ってここに来るってことは?
「オレが頼んだやつかな?」
小声で呟いたつもりだったがしっかり彼にも聞こえたようで、振り向くと「そうです」と笑っている。
「昨日フィオーラ様が作成していた物です。屋敷のセラ副長の部屋に持って行ってもよかったそうなんですが、毒ではないとはいえ薬品ですし、念のため研究所で保管していました」
「フィオさんが昨日部屋に来た時は何も言ってなかったけど……もう出来てたんだね」
催促するようなことじゃないし、間に合わせてくれるだろうとは思っていたんだが、昨晩既に完成していたのか……。
「わかってはいたが早かったな……ご苦労。使用に関しては何か注意点はあるか?」
オーギュストが訊ねると、彼は木箱と一緒にファイルを「こちらを」と机に置いた。
まずはオーギュストは木箱を開けた。
俺も一緒に中身を見ると、赤と青のラベルが貼られた瓶が二本ずつ入っている。
それを確認すると、お次はファイルを開いて中を読んでいく。
中身は使用法のはずだが……もしかしたら専門的な内容なのかもしれない。
真剣に読んでいるし……邪魔をしちゃいけないな。
「アレは元々の薬品と何か違うの?」
小声で彼に訊ねると、今までは俺の後ろにいたテレサも加わって来た。
「効果を弱めた物なのですよね? そんなに簡単に出来るのですか?」
「フィオーラ様が以前、あの薬品の効果を無効化する研究を行っていたことがあるんです。森や川などで使用されると範囲が広過ぎるので使い物にならないからと研究そのものは打ち切ったんですが、屋内や街中で使われた際の対処法は完成させていました。今回はその応用なので……効果と持続時間を弱めるようにしています」
「……ほぅ」
数年前の一の森の魔物たちの襲撃だったり、孤児院の地下の件だったり……魔道具や薬品絡みで街に危険が迫ったことがあったし、研究していても不思議じゃない。
研究を打ち切ったとは言っているが、とりあえずの対処法は完成させたようだし、今回のように応用もすぐに出来るのならその研究そのものは成功と言っていいだろう。
俺だけじゃなくてオーギュストもテレサも知らなかったようだし、中途半端な結果に終わってしまったから皆には報告していなかったんだろうな。
フィオーラらしい。
「……ジグさんは知ってたのかな?」
「ええ。ジグハルトさんも参加していましたし、コレのことは覚えているはずですよ」
「なるほど。だからこそ要求したのですね。それなら使用法は理解しているのでしょうか?」
俺たちが話していると「そのようだぞ」と、ファイルを読み終えたオーギュストが口を開いた。
「読み終わったんだ? 使用法がわかってるのならそれは持って行かなくてもいいのかな?」
俺が訊ねると、オーギュストは「いや」と首を横に振った。
「使用した素材やその効果などが記載されているだけで、見る者が見ればそれでどう作用するかがわかるんだろうが、私では判断がつかない。ジグハルト殿なら違うだろうし、持って行った方がいいな」
暗号みたいなやり取りをしているんだな……と感心しつつ、俺は「了解」と答えた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




