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執務室を出てセリアーナの部屋に到着すると、既に着替えを終えていたエレナが出迎えてくれた。
「お疲れ様。執務室の様子はどうだった?」
「色々な人が来てて、執務室の人たち皆忙しそうだったよ。旦那様も皆の前では余裕がありそうに振る舞ってたけど、机の上が書類でグチャグチャだったし、アレは手一杯だったね」
部屋の中を進みながらエレナに執務室の様子を伝えると、納得するように大きく頷いた。
「私も君と別れてから本館を少し移動したけれど、随分訪問者の数が増えていたよ。団長もテレサもいないからどうしても旦那様に仕事が集中してしまうんだろうね」
「そうみたいだね。騎士団の方も忙しいだろうし……しばらくは旦那様が大変かもね。ただいまー」
エレナと話しているとあっという間にセリアーナの机の前にやって来た。
リーゼルの机のように書類が散乱している……ってことはないが、彼女の机の上にも書類の束がいくつか積まれている。
ここ最近彼女が読んでいた、領都にやって来るかも知れない者たちの名簿とは違う物だし、今日新しく用意された物だろうな。
セリアーナはその束の一つを手に取って読んでいたが、机の上に置くと顔を上げた。
「お帰りなさい。外の様子見とリーゼルへの報告ご苦労だったわね。聞こえていたけれど……もう少し詳しく執務室の様子を聞かせて頂戴」
「はいはい……。エレナからの報告はもう聞いてるのかな?」
「ええ。街の様子と冒険者ギルドの様子と騎士団本部の状況。後は街の外で魔物と戦闘があったことね。どれもそれぞれで対応出来ているようだし、私が特に何かをするようなことはないわね」
「そっか……まぁ、こっちも大したことは何にもないんだけどね」
俺はそう断ると、執務室の様子だったりリーゼルと話した内容をセリアーナに伝えることにした。
◇
「…………」
「セリア様?」
俺の報告を黙って聞いていたセリアーナは、俺の話しが終わった後も黙ったまま何事か考えこんでいた。
要は執務室は大忙しだ……って話だったんだが、そんなにセリアーナが考え込むような内容だったろうか?
エレナにでも聞いてみようか……と考えていると、ようやくセリアーナが目を開けた。
そして、溜め息を一つ吐いたかと思うと顔をこちらに向ける。
「結局は……どこも人不足ってことよね。仕方がないことだけれど、どうしても余計な時間を取られてしまうわね」
「こればかりは仕方がないことです。どこも重要な場所ですし、能力は勿論ですが、身元が定かでない者を送り込むわけにはいきませんからね」
エレナの言葉に「そうよね」と呟くと、再び黙り込んでしまった。
そして。
「まあ……いいわ。正式に雨季が明けてからにするつもりだったけれど、私も明日から執務室に入るわ」
「それは旦那様も助かることでしょう」
リーゼル並に仕事が出来て領地で彼の次に身分が高くて、そもそも彼の補佐がメインの仕事なのがセリアーナだ。
雨季の間は休暇兼彼女自身の用事を片付ける期間にしているため、領地の仕事がさほど忙しくないこともあって執務室には入っていなかったが、まぁ……状況が状況だ。
それに、雨季が明けるのはどの道あと数日だしな。
セリアーナも片付けておきたかった用件は残っているだろうが、そうも言ってられないか。
エレナが言うようにリーゼルも助かるだろう。
「セラ、お前も明日からは執務室について来てもらうわよ。出発まではまだ日があるし、同行する者たちの準備は自分たちでするんでしょう?」
「む……別にいいけど、何かするの? 確かに今さらオレが何かをやるようなことはないと思うけど……」
「お前に頼むようなことがあればね。そうじゃなければ、隣室で本でも読んでおくといいわ」
要はセリアーナにくっついて行けばいいってことか。
「いつも通りってことだね。了解!」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




