2029
痛がるフィオーラを無視して肩周りの施療を行っていたが、結局彼女に振り払わられるようなことはなく無事完了した。
そのまま先程のセリアーナの時と同じように腹部に移動したんだが……フィオーラはすっかり憔悴して、グッタリと背もたれにもたれかかっている。
昨晩どんなことがあって、今朝のようにセリアーナとフィオーラが揃ってダウンしていたんだろう……と聞き出したかったんだが、この分だとそれは無理そうだな。
どうしたもんか……と施療を続けながらセリアーナに視線を移すと、俺の考えが伝わったらしい。
「フィオーラ、セラが昨晩の話を知りたがっているけれど……貴女、今話をするのは無理でしょう? 私が話しても構わないかしら?」
フィオーラは姿勢を戻さず顔だけでセリアーナを見ると、「ええ」と小さく頷いた。
「……どうせ大した内容でもないし、お願いするわ」
それだけ言うと、フィオーラはまたガクッと首を後ろに倒した。
痛いことは痛いと思うが所詮は凝りを解しただけなのに……そこまでダメージがあったんだろうか?
「……フィオーラは剣を打ち合ったりするような機会はないでしょうから、慣れていないんじゃない? 足の時はどうだったかしらね?」
セリアーナの声に、俺はそれもそうかと頷いた。
体力作りのために体を動かすことはあっても白兵戦を行うようなことはないし、剣での訓練もしっかり積んでいるセリアーナに比べると痛みへの耐性が低いようだ。
彼女の立場や役割を考えると、それで全然構わないんだが……マッサージの時にそれが問題になるなんて思いもしなかっただろう。
とは言え、加護込みのマッサージだし、痛い思いをした以上の効果はあるはずだ。
痛いのはこれで終わりだし、フィオーラのことはこのまま放っておこう。
◇
さて、セリアーナが昨晩のフィオーラとの会話の内容を話し始めた。
部屋には使用人たちもいるし、フィオーラ自身も大した内容ではない……と言っていたから……そこまで気にするようなことではないんだろうが、二人揃って二日酔いになるくらいなんだしどんなことを話したんだと少々不安になる。
俺は黙ってセリアーナの話に耳を傾けた。
俺が寝室に移動してからと、テレサがいた時の内容に関しては……まぁ、大したことではなかった。
雨季明けに外から来る者が屋敷に滞在したりするんだろうが、何かフィオーラがその人たちに向けて、特別に用意する必要がある物などはあるか……とか仕事に関することだったり、セリアーナの伝手を使って王都圏から仕入れて欲しい書物や器材がある……とか、仕事の話がほとんどだ。
少し酒が入っている状態とはいえ、この二人が話をするとなれば……大体こんなもんだろう。
エレナでもいれば適当にプライベートな話題を振ったりもするんだろうが、その場にいたのはテレサだしこうなってしまうのは仕方がないことだ。
まぁ……この辺りのことはテレサから軽く聞いているし、今更って感じではある。
セリアーナもそのことはわかっているんだろう。
細かく話すようなことはなくササッと適当に流していた。
んで、テレサが部屋を出てからの話題に移った。
「北の拠点の調査が始まって以来、ジグハルトがずっと出たままになっているでしょう?」
「うん。色々面倒な任務だけど、腕は立つし現場で指揮も執れるし助かってるね」
ついでに知名度も抜群だ。
状況次第では拠点が危険な目に遭うことだってるし、その時は住民が避難の指示を出さなければいけないんだが、俺やリックじゃ中々すんなり従ってもらえるかわからない。
アレクとジグハルトがいてこそだ。
「隊員なら交代は出来ますが現場の責任者には彼らのどちらかは不可欠でしょう」
「今もジグさんが残ってくれてるから北の拠点周辺の任務を続けられてるね」
俺とテレサがそう言うと、セリアーナは「そうね」と頷いた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚