2027
さて、頭部から始めた施療だが、俺とセリアーナの関係とはいえ流石に顔をペタペタ触るわけにはいかないし、頭部は軽く手をかざしながら行っていた。
目も口も塞ぐようなことはないし、だからこそお喋りをする余裕もある。
部屋には使用人たちがいるし、初めは彼女たちの存在に配慮して話題を選んでいたんだが、そもそも二日酔いでフィオーラと一緒に寝過ごしたこと以上に問題があるような話題もないし、すぐにいつも通りの調子で話すようになっていた。
一応昨晩飲み過ぎた理由はフィオーラらしいし、その件は後でフィオーラの番の時にでも聞こうと思って後回しにしている。
その代わり、何を何時までどれくらい飲んだのか……などを聞いていた。
飲んだのはワインだけで、量も二人で一瓶だけだったらしいんだが……どうやら水を一緒に飲んだりはしていなかったらしい。
この世界のワインの度数がどれくらいなのか俺は知らないが、そこまで酒に強いわけじゃない二人がチェイサー抜きで一瓶飲めば酔いもするだろう。
セリアーナの話を聞いて、テレサは苦笑してフィオーラは申し訳なさそうにセリアーナを見ている。
まぁ……二人もしっかり反省しているようだし、わざわざ混ぜっ返すようなことでもないか。
話題を変えることにしよう。
「んで……とりあえず見た感じだとどこも悪いところは無さそうだけど、セリア様はどこかやって欲しいところとかあるかな?」
「そうね……特に調子が悪いところはないけれど……」
考えているのか、頭が横に傾いている。
「私は先程は首回りや肩を中心に施して貰いましたよ。最近は事務仕事が多かったこともあって、少々疲れが溜まっていたのですが……お陰で大分楽になりました」
セリアーナにアドバイスをするように、テレサが先程の施療に関して伝えている。
というか……サラッと流してしまったが、やはりテレサも疲れが溜まっていたんだな?
先程の施療で多少はマシになったようだが……また機会を設けて施療を行う必要があるな。
施療を続けながらそんなことを考えていると、どうやらセリアーナも考えが纏まったらしく、こちらに振り向いた。
「私も首と肩周りをお願いするわ」
「はいはい。後でお腹もやるからね」
俺はセリアーナにそう伝えると、手を顔の周りから肩へと移した。
◇
「……っ!?」
「痛くない痛くない」
セリアーナの肩周りの施療のついでに、俺の手で普通のマッサージも同時に行っているんだが、時折セリアーナが顔をしかめている。
【祈り】が発動しているから、力加減には十分過ぎるくらい気を付けているし、決して力が入り過ぎているなんてことはないのにこの様子だと、大分凝っているみたいだな。
今日だけじゃなくて、雨季が明けるまでくらいは続けた方がいいのかもしれない。
だが、その前に一つ確認もしておかないとな。
「セリア様、最近体動かしてる?」
セリアーナに限らず、この東部のご婦人方は何だかんだでしっかりと身体を動かしている。
何時万が一の事態が起きるかわからないし、魔物と直接戦闘すことはなくても最低限の動きは出来るようにしておかなければいけないからだ。
最近のセリアーナは数日前は俺に付き合っていたりもしたが、それ以外は部屋に籠って自分の仕事をずっと片付けていた。
そもそも、今年はずっと所謂貴族の奥様的な活動が多く、体を動かしている所はほとんど見ていないんだよな。
……フィオーラもだ。
「……」
チラッとフィオーラを見ると、何も言わずに顔を背けた。
彼女の場合はまだ研究所に向かう際に地下通路を歩いてはいるが……運動不足ではあるだろう。
フィオーラの顔を背ける動きが目に入ったんだろう。
セリアーナは痛がりながらも笑っている。
「確かに仕事にかまけて体を動かすことを怠っていたわね。お前が任務に出るまでまだあるでしょう? それに付き合うわ。フィオーラ貴女もどう?」
「……明日からね」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚