2023
「……うん?」
朝目が覚めると部屋の中に微かな違和感を覚えた。
……正確には部屋の中というよりはベッドの上でだな。
隣にいる誰かは……セリアーナなんだが、それ以外にも一人いる気がする。
流石にリーゼルってことはないだろうが……誰だ?
ともかく、ベッドの上の人はまだ眠っているようだし、俺は彼女たちを起こさないように静かに体を起こすと、魔力を最小に抑えて照明の魔法を発動した。
薄っすらとベッドの上が照らされて、眠っている人の顔が見えてくる。
一人はセリアーナで、もう一人は……とベッドの奥に視線を向けた。
「フィオさんか……? 何でまた……」
確かに昨夜はフィオーラは部屋に来ていたし、俺が寝室に移動した時もセリアーナと一緒に飲んではいた。
あれからも飲んでいたんだろう。
確かテレサも後で部屋に来るとか言っていたし……酔い潰れるほど飲み過ぎるってことはないはずなんだよな。
「……でも、お酒の臭いはするね」
首を傾げて部屋の様子を見ていると、ふと部屋の中に微かに酒の臭いが残っていることに気付いた。
そこまでしっかり残っているわけじゃないし、大した量を飲んでいる……って感じじゃなさそうだが、それでも酔い潰れて部屋に戻るのが面倒になって、そのままこっちで寝たってところかな?
「二人とも別にお酒に弱いってことはなかったと思うんだけど……まぁ、そんなこともあるよね」
明かりが弱くてはっきりとは見えないが、それでも二人とも顔色は悪くないし放っておいても大丈夫だろう。
俺はベッドから下りると、彼女たちを残して隣室に移動することにした。
◇
「……片付けずに寝ちゃったのか」
寝室から出ると、昨晩の片付けがまだ済んでいないテーブルが目に入った。
普段は使用人を下げた後は自分たちで片付けるか、下がらせた使用人をまた呼ぶかしているんだが、どちらもせずに寝室に行ったようだ。
むしろ、こちらで潰れずによく寝室まで行けたっていうべきなんだろうか?
「まぁ……零したり汚したりしていないし、ひどい酔い方をしていたってわけじゃなさそうだね。とりあえず窓を開けるかな?」
部屋が広い分寝室ほどではないが、それでもこちらの部屋にも酒の臭いが漂っている。
むしろ、酒その物がある分臭い自体は寝室よりも強いかもしれない。
「オレは酒に弱いからね……」
呟きながら部屋の窓を開けていく。
風は大して強くないが、それでも部屋の空気を入れ替える程度なら問題ないし、雨が降りこまなくて丁度いい。
「臭いはこれでいいとして……後はコレだね。どうしたもんか……」
色々置いたままのテーブルを見る。
部屋にもキッチンが付いているし、簡単な洗い物くらいなら出来るが……。
「ちゃんとドアの前にいるね。面倒だし任せちゃうか」
廊下の気配を探ると、ドアの前に既に使用人たちが数人控えている。
酔って片付けるのが面倒になったから、一晩そのままにしていた……ってのはセリアーナからしたらちょっと使用人に見せるのは恰好悪いと感じるかもしれないが、それはもう自業自得と諦めてもらおう。
「流石にソファーに寝転がっていたりしたら、使用人を呼んだりはしなかったんだけどね……」
二人とも育ちがいいし、いくら面倒だからと言ってソファーで眠ることは出来なかったんだろうが……それが災いしたな。
「おはよーございます。部屋に入ってもらっていいですかー?」
「セラ様っ!?」
ドアを開けると、控えていた使用人たちにそう言って部屋の中に入ってもらう。
唐突に俺が部屋から顔を出したことに、想定していなかったのか大分驚いたようだったが、部屋の中の様子を見て「ああ……」と納得していた。
「部屋の片づけをお願いしたいんだよね。まだセリア様たちは寝てるから、急がなくていいけどあまり音を立てずにね」
「お任せください。食器は下に運んでも構いませんか?」
「うん。全部任せるよ」
「わかりました」
彼女たちはそう言うと、パパっと役割を分担してテキパキと動き始めた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




