2020
アレクたちの報告を聞き終えて、リーゼルに話を持って行くためにオーギュストとリックが内容を纏めたり……その間に、俺が街や周辺の様子をアレクに改めて話したりしていたが、それらも全部完了した。
アレクたちが帰ってくる前から既にある程度内容は把握出来ていたし、まぁ……作業自体はそんなに手間がかかることではない。
ってことで、オーギュストたち三人はそのまま屋敷の執務室に報告をしに向かったが、俺はそこには付き合わずにセリアーナの部屋に戻ることにした。
三人とは本館の執務室前で別れて俺はそのまま一人で南館に向かって飛んで行くと、調査隊が帰還してからまだ一時間も経っていないが、本館にはもう普段見ない来客の姿があった。
「セラ副長!? 私は……」
「はいはい、こんにちわー」
俺の姿を見た者が何やら慌てて挨拶をして来ようとするが、俺が関わるタイプの人間じゃなさそうだし、適当に返事をしてそのまますれ違っていく。
何となく背後から俺を追おうとする気配は感じたが、彼を案内する屋敷の使用人に止められていた。
その扱いぶりから、屋敷には入れるがそこまで身分が高くない者だってのがわかる。
……商業ギルドの関係者かな?
興味を示していない俺を追ってまで話しかけて来ようとしているし、ここには来慣れていない者だってことは間違いなさそうだな。
「もし何かしら本格的に関わりたいことがあるのならもっと慣れた者を送って来るだろうし……とりあえず何か変わったことは起きていないかの探りを入れるためなのかな?」
首を傾げながら廊下を進んでいると、また前から使用人と先程の者と同じような恰好をした者がやって来ていた。
「セラ様っ!?」
「こんにちわー」
同じようなやり取りを何度か繰り返しつつも誰とも話すことなく南館までやって来た俺は、そのまま二階に上がっていく。
俺が姿を見せたことに気付いた扉前の兵たちはすぐに挨拶をしてきた。
「お帰りなさいませ。騎士団本部での用事はもう片付いたのですか?」
「隊長方が帰還されたと聞きましたが……」
「うん。皆は旦那様の執務室に行ったけど、オレはもう仕事は終わったし帰って来たんだ」
地下訓練所を出る時にセリアーナに伝言を頼んでいたし、彼女たちの誰かが聞いたんだろう。
「今こっちには誰か来てる?」
「エレナ様とフィオーラ様がいます。外からのお客様はいらっしゃいませんが……面会の申請が先程から来ています」
「ふぬ……本館の方も増えてたし、セリア様の方にも来るか。多分この後も増えると思うからよろしくね」
「はっ。お任せください」
そう言うと、彼女たちは扉を開けてくれた。
◇
セリアーナの部屋に戻ってくると、まずはセリアーナたちの手によって風呂に放り込まれた。
どうやら騎士団本部から地下通路に入った時点で把握されていたらしい。
伝令や面会の申請だったりで事態の進展は予測出来るし、俺も屋敷に戻って来てからも急いでいたわけじゃないから、風呂の用意をする時間は十分にあった。
だが、セリアーナたちもアレクたちがどんな報告をしていたのかまでは予測が立てられなかったんだろう。
使用人たちは部屋に残して、揃って彼女たちも風呂にやって来た。
例によって浴室でそのまま密談だ。
もっとも、そこまで隠すほど重要な話はなかった……はずだし、彼女たちの考え過ぎだったな。
というようなことを、湯船に浸かりエレナが用意したお茶を飲みながら話した。
一通り報告を聞いたセリアーナは、「……微妙なところね」と困ったような声で呟いた。
「一の森の魔物が北の森に来てるかもってこと?」
「ええ。ジグハルトと兵も残っているし、心配はいらないでしょうけれど……北に向かう街道を利用する者たちがどう動くか」
そう言って「はあ……」と溜め息を吐くと、目を閉じた考え込んでしまった。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




