2018
「失礼します」
「おう、入るぜ」
俺はオーギュストの机の前からソファーの上に移動して、アレクたちがやって来るのを報告書を読みながら待っていたんだが、読み終えるよりも早くアレクとリックの二人が部屋にやって来た。
二人だけ?
「長期の任務ご苦労だったな。帰って来て早々で済まないが報告を聞かせてもらう。……お前たちだけか? ジグハルト殿は?」
彼らを出迎えたオーギュストも俺と同じ疑問を持ったようで、ジグハルトはどうしたのかを訊ねた。
それに俺も乗っかった。
「ジグさんは報告とかは一緒に来るよね。……もしかしてまだ北の拠点にいるの?」
ジグハルトは俺ほどではないが、騎士団内で自分の判断で好き勝手動ける立場だ。
だが……基本的に真面目で責任感のある男でもある。
一緒に領都に戻って来ているのなら、リーゼルの執務室には行かなくてもこっちには顔を見せるはずだ。
「セラも来ていたのか……。ジグさんはお前が言ったように北の拠点に残っている。先行して送った伝令に簡単な報告書を持たせていたんだが……読んだか?」
「コレだね? 読んだよ」
手にした報告書をアレクに見えるように振ってみせた。
「拠点に危険が迫っているわけではないが……念のためジグさんと隊から数人を残らせている」
襲って来たりはしなくても、とりあえずあまり例がないことだし警戒をしているんだろうな。
アレクの言葉に「ほぅほぅ」と頷いていると、話を遮るようにオーギュストが口を開いた。
「それらも含めて話を聞かせてもらおう。二人とも、中に入れ」
部屋に入って来て挨拶をするなり俺が話しかけてしまったから、彼らはまだドアの前で立ったままだ。
シャワーも着替えも済ませているし、こざっぱりした恰好ではあるんだが……よく見ると髪はまだ少し湿っている。
それだけ急いで報告に来たって言うのに、ドアの前で突っ立たせたままってのは流石に申し訳ない。
俺は彼らが座るスペースを空けるために、【浮き玉】に乗ってソファーから離れた。
◇
二人と一緒にオーギュストも応接用の席に移って来て、少々砕けた雰囲気の中で二人からの報告を聞くことになった。
先程報告書を読みながらオーギュストから説明も受けていたし、内容はすんなり理解出来ている。
一通り報告が終わったところで、アレクが部屋の中を漂っている俺を見た。
「まあ……コイツも参加していたしここにいること自体は何も文句はないんだが……わざわざそれだけのために呼んだのか? 一応俺たちが街を離れている間の状況も簡単には伝えられているし、街に戻ってからもずっと任務続きだったんだろう? てっきり部屋に引きこもっている頃だと思っていたぞ?」
アレクの言葉にリックは怪訝な表情を浮かべているが、概ねアレクの言うとおりだ。
付き合いが長いだけあって流石によくわかっている。
「部屋にずっといたのは合ってるけど、今日は地下訓練所にいたんだ。フィオさんとこの人たちに手伝ってもらって訓練してたよ」
「……訓練? お前がか?」
「オレが取り逃がしてた魔物が一の森の北側に行っちゃったんだよね。だから、そいつを始末するなり追っ払うなりしておきたいんだ。雨季明けに騎士団が領内の巡回を行うでしょう? そのタイミングに合わせるつもりだよ」
意外そうな顔をしているアレクにそう伝えると、オーギュストが補足をしてくる。
「雨季が明ければ直に街道にも人の往来が戻るだろう? そうなる前に彼女に動いてもらいたいんだ。街道の巡回が増えるこの時期なら悪くないだろう」
「森に入るのはセラ副長一人なのですか?」
「そうだ。森の捜索も戦闘も副長一人だ」
「なるほど……街道にも影響が出かねませんし、それなら早い方がいいですね」
リックが納得したように頷くと、アレクも「確かにな」と同意する。
「街道は兵が……北の拠点にはジグさんがいるか。それならセラが一人の方が遠慮なく動けるな」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚