2016
さて、一階に上がって来た俺たちは奥の団長室に向かおうとしたんだが、その前に一旦足を止めてホールの方を廊下から眺めてみた。
地下は特に変わりはなかったが、流石に一階は忙しそうにしている人が多く目についた。
普段は各部屋で仕事をしている事務方だが、彼らが帰還した兵たちの対応をするんだろう。
「事務方の仕切りですし、この分だとすぐに商人ギルドからも人が来るでしょうね」
「武具の整備とか必要だし、一括で任せる方が楽だもんね」
「ええ。ですが、そうなるとこちらにも外部の者が増えてくるはずです。隊長たちも帰還早々に大変でしょうね」
「だろうねぇ……」
ホールの様子を眺めながら笑っていたが、何時までもここでのんびりしていられない。
向こうが騒がしくなるなら尚更だ。
俺たちはさっさと団長室に向かうことにした。
◇
オーギュストの部屋の前まで行くと、中に伝えることなく警備の兵がドアを開けた。
まぁ……元々俺はオーギュストに呼ばれたから来たわけだし、俺が来たら開けるようにとでも言われていたんだろう。
「来ましたよー」
俺が中に向かってそう言いながら入っていくと、隣の彼はその場で足を止めて一礼して口を開いた。
「お疲れさまです。セラ副長をお連れしました」
俺たちの声にオーギュストは顔を上げるとこちらに顔を向けた。
「ご苦労。セラ副長もわざわざ済まない……訓練所にいたのか?」
そして俺の恰好を見て首を傾げている。
ここ最近は部屋に引き籠っていたから、今日に限って訓練所にいたことが不思議だったんだろうが……たまたまだしな。
俺は気にせず返事をした。
「そうそう。今日は訓練所にいたんだ。んで、そこで呼ばれたから来ましたよ」
大した理由は無いとわかったオーギュストは「そうか……」と頷くと、ここまで同行してきた彼に下がるよう言った。
彼の今日の任務は屋敷の警備だからってこともあるが……。
「それではセラ副長、私はこれで失礼します」
「うん。あぁ……セリア様にオレはこっちに来てるって伝えといて」
「わかりました。南館の警備にそう伝えます。それでは……」
彼はそう言うと、挨拶もそこそこにすぐに下がって行った。
彼もこの部屋の雰囲気を察したんだろうな。
俺は「よいしょ」と重いドアを閉めると、オーギュストの机の前に飛んで行く。
「他の人は?」
部屋の中はその日の状況によってメンバーは変わるが、オーギュストの補佐以外にも一人か二人は文官がいて、ここで一緒に仕事をしている。
だが、今日は文官どころか補佐すらいない。
先程のホールの様子を見ると忙しいのはわかるんだが……それでも一人くらいはここに置く余裕はあるはずだ。
俺がジッとオーギュストを見ていると、彼は肩を竦めながら席に着いて、机の上に広げられている書類の中から一枚取り上げた。
「帰還の先触れにリック隊長が報告書を持たせていた。コレだ」
「ふぬ?」
俺はソレを受け取ると、記された文字を読んでいく。
「……拠点に近づく魔物は一掃したし、住処っぽいのも潰して回ったし、ついでに荒れた森の修復も簡単にだけは終えたと。オレが別れてからも頑張ってるねー……そりゃリック君も戻って来れないよ」
本来は北の拠点周りの調査だけだったんだが、何だかんだで色々問題が発覚して、その対処にアレクたちはずっとかかりきりになっていた。
リックや交代要員を送り込んだり色々やってはいるものの、本格的な作業は雨季明けに……って予定だったはずなんだが、この分なら作業期間を大分短縮出来るんじゃないだろうか?
「予定が早まるのはいいことなんじゃ……次があるの?」
首を傾げていると、オーギュストはまたもう一枚渡してきて、さらに内容を口にした。
「一の森の魔物が北の森に縄張りを移そうとする動きがあるようだ。所詮は浅瀬ですら維持出来ない程度の魔物だが……気を抜くことは出来ない」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚