2005
来訪客相手に見方によっては失礼な対応をしても、今年に限っては相手側に非があると周りも含めて納得させることが出来るため、領内の移動の護衛兼接待役を期待される俺はお休みでいいようだ。
ついでに、この時期に敢えてそうすることで、使用人経由ではあるが周囲に俺の補佐を本気で探していることをアピール出来るし……とりあえずそうするメリットはしっかりあるらしい。
今日の昼間に俺自身も実感していたことだが、リアーナはとにかく人手が足りていない。
このままだと、俺が自分に向いていない仕事に忙殺されて、肝心の俺向きの仕事に回す余力が無くなってしまうという事態になりかねない……ってことを、皆も考えていたらしい。
リーゼルたちも話を聞いたらすぐに納得したそうだし、それは共通認識だったんだろうな。
せめて俺がテレサのように常に仕事に追われているのなら、早いうちに部署を作っていたかもしれないが、仕事をしている時としていない時との差が大きすぎて中々踏み切れなかったんだろうな。
今までも任務や依頼が重なったこともあったんだが、本来なら手に負えない状況ではあっても、周りの人のお陰で何とかなっていた。
何といってもテレサが優秀過ぎるし、他にもエレナやフィオーラ……いざとなればセリアーナも手伝ってくれていたからな。
リアーナ領の上から数えた方が早い人たちに手伝ってもらえるのなら、ほとんどの手順や手続きをすっ飛ばすことが出来るし、どうとでも出来る環境なんだが……だからといって今後もその環境を維持出来るとは限らない。
今後を考えると、可能な限り早いうちに手を打っておいた方がいいのは確かだ。
だが。
「そんな簡単にどうにかなるのかな……?」
今までは身近な者たちだけで探していたが、今回は商業ギルド等民間も利用して、ずっと広範囲の人材を見ることが出来るわけだ。
だからと言って、それだけで解決出来るような問題なんだろうか?
もちろん、即戦力ってわけじゃないかもしれないし、今後時間をかけて育成していく可能性だってあるんだろうが……と首を傾げていると、セリアーナが「大丈夫よ」と一言答えた。
その一言で終わってしまったことに「む……」と困惑していると、テレサが苦笑しながら補足を入れてくる。
「丁度この期間ですと、領内だけじゃなく大陸中から人間が集まってきます。リアーナの商業ギルドは王都圏から来た者が多く在籍しているため、何らかの繋がりを持っているはずですよ」
「……他国の人からも選ぶの?」
戦闘面ならともかく、事務面なら確かにウチより王都圏や西部の国々の人間の方が向いているだろうが……他所の人間を俺の補佐にするんだろうか?
最終的に選抜するのも採用を決めるのも、俺じゃなくてセリアーナたちになるだろうから余計な心配かな?
そう訊ねようとしていると、その前にセリアーナが再び「大丈夫よ」と言った。
そして、今度はそこで終わらなかった。
「他国の者はあくまで人寄せよ。より広範囲から人を集める方が国内の者も話が耳に入りやすいでしょう?」
他国の者はにぎやかしってことで、本命はそっちか?
俺が「なるほど……」と呟くと、さらにセリアーナが話を続ける。
「既にどこかに雇われている者でもより待遇が良い方に移りたいと考えるものよ。もちろん雇われ先との関係には気を使う必要はあるけれど……実家に働きかけてもらおうかしら」
「……親父さん?」
こちらから仕掛けるわけではないが、要は引き抜きみたいなもんだ。
相手は当然優秀な者だろうし、そう簡単には手放さないだろう。
いくらウチの商業ギルドが資金が豊富だからって難しいかもしれないが、ミュラー家に間に入ってもらえばそうそう拗れるようなことはないだろう。
「お母様の方かしら? 実家にとっても悪い話ではないだろうし……きっと了承してくれるはずよ」
ウチの商業ギルドに貸しを作れるかもしれないし、セリアーナが言うようにメリットもある。
これなら上手くいきそうかな?
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚