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北拠点に南拠点、そしてこの街と、各状況の報告が終わった。
「さて、それじゃあアレクシオの報告を聞こうか。何かしら収穫はあったんだろう?」
「ええ。まずはこれを」
アレクがテーブルに何かを広げているが、多分部屋で見た地図だろう。
俺も見たい。
「よいしょ……」
体を起こしテーブルを見ると、地図の他にも資料が数枚。
イラストや付属の文章から魔物の分布図か何かだろうか?
地図にも直接マークなんかが書き込まれている。
「では説明を……。まず今回の襲撃ですが、とにかく数が多過ぎました。これまでの記録が正しいのなら従来の3倍近くです。そして……」
話を止め地図上にボードゲームの駒を置いて行く。
置いた場所は地図にも記されている大岩や、川の分岐点でルトルを中心に大体半円状で南北の拠点もしっかり入っている。
「随分広範囲だが、よく2日そこらで出来たね」
それを見たリーゼルが思わずといった感じで口にした。
半径30-40キロ位はありそうだ。
ジグハルトが走り回ったとか言っていたが、そりゃそう言いたくなるわ……。
「馬を使いました。大森林で馬を使うのは本来避けるべきですが、幸いと言っていいかはわかりませんが、今は魔物がいませんからね……。一応の目安として駒を置いたところまでを調査しましたが、範囲内はもちろん、そこから先もまだ魔物の気配はありませんでした」
今度は資料を広げていく。
「今回討伐した魔物の詳細がこちらです。より強い上位種はおらず、ボスであるクマを除いてどれも森の浅瀬に生息する種類です」
資料を覗き見ると、各魔物の討伐数が記されている。
俺が倒したのはオオカミとゴブリンだけだったが、オオカミ、ゴブリン、イノシシがメインで、少数だがシカやコウモリがいたらしい。
コウモリは昼間はいないから、ここではまだ見た事無いが、どれも割とちょっと森に入れば出くわす種類だ。
「今回の600という数。それだけならありえ無い、とは言えません。1の山の反対側も含めれば余裕で越えるでしょう。ただ今回の様に広範囲の浅瀬から魔物が集まるとなると別です」
「広範囲から集まることは無いのかい?」
「いえ。ただその場合ボスとなる魔物が複数必要になります。あるいは、ボスが妖魔種で、その直属の配下が率いるか、です。今回の様に魔獣1頭でとなると異常です。もちろん絶対にとは言えませんが……」
「何か根拠があるようだね」
「はい。ここを」
リーゼルの問いに、地図を示すアレク。
南北の拠点付近何ヵ所かに赤でバツ印が付けられている。
ルトルの周辺には無いが、なんだろう?
「同盟のある大陸東部では使われる事はほとんどありませんが、西部で傭兵達がよく使う魔物避けという物があります。いくつか種類がありますが、焚火に混ぜるタイプ。それを使った痕跡がこの印をつけた場所でありました」
魔物避け……、初めて聞くな。
便利そうだけどこの辺じゃ使わないのか。
「魔物避けか。教師からそう言ったものがあるとは聞いた事があるが……」
アレクがそれに答えようとしたが、先にジグハルトが口を開いた。
「この辺じゃ魔物ってのは、大体獲物として扱うだろ?アレは使うとその場から離れていくからな。冒険者からしたら獲物が逃げていくだけだし、騎士にしたって討伐できない。西部と違って魔物の密度が違うからな。下手に使うと場合によっては魔物の襲撃を引き起こしかねないってんで、錬金術師や薬師も作ることは滅多に無いはずだ」
錬金術師ってのが出て来たのでフィオーラを見ると頷いている。
「なるほど……それを使って、魔物を追いやってあれだけの数を集めたのか。だがいくら集めたからと言って、今回の様に上手くいくものなのかい?」
「この時期だしもちろん狙っていたんでしょうが、上手くいこうが行くまいがどちらでも良かったんでしょう。今回は偶々うまくいきましたが、どのみち許容量以上の魔物が集まっていればそのうちあふれて、街を襲っていたはずです」
結構手間をかけた遠回りな事をしてくるんだな。
……今更だけど、中々の嫌われっぷりだよね。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・7枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・3枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚