2003 セリアーナ side 4
「皆はどんなこと話してたの?」
自分たちの街の調査結果報告をフィオーラに任せたセラは、セリアーナの後ろに移動して肩越しに会議の様子を訊ねていた。
セリアーナが部屋を出る際には大した説明を受けておらず、部屋に戻らずにわざわざこちらに来るあたり、何か問題でも起きたのかと気になっていたんだろう。
机の上に広げられている資料も気になっているようで、視線を向けている。
そのことに気付いたセリアーナは、資料に手を伸ばすと「大したことじゃないわよ?」と言いながらセラに手渡した。
「……なにこれ? ただのお客さんのリスト? セリア様の部屋にあるのとはちょっと違うみたいだけど……」
「ええ。困ったことにまだ来月領都を訪れる者が決定していない家があるの。その家や、来訪者に合わせた領内の護衛や警備と巡回の人員のリストね。そこに名前がある者もまだどこに配置するかは決まっていないようだけれど……とりあえずの目安ね」
「へぇ……まぁ、家格とか役職とかあるし、色々考えないといけないんだろうけど、オレは何も予定はないのかな? 一番隊がメインなの?」
一通りその資料に目を通したセラは、そこのリストに自分の名前が記されていないことに首を傾げている。
王家とすら繋がりがあり、身分も役職も……当然能力にも問題のない彼女なら、むしろリストに名前が無い方がない方がおかしいだろう。
「それともまだ決まってないだけとか?」
「そうね。一番隊がメインの任務なのは確かだけれど、お前の予定がまだ決まっていないのも事実ね。近いうちに私から伝えるから、他所で勝手に頼まれてきては駄目よ?」
「ぬ……了解」
セリアーナの普段と違う曖昧な指示に困惑しながらも、セラは頷いている。
その彼女を見て、セリアーナはテレサに指示を出した。
「今決まっていることだけでいいから、この娘に教えてあげて頂戴」
「現時点で確定していることだけですね? わかりました」
テレサはセリアーナに念を押すように確認をすると隣の席に移動して、代わりにセラに向かって「こちらに」と今まで自分が座っていた席を指した。
セラは「はいはい」と大人しく前に回り込むと、【浮き玉】から下りて椅子に座った。
◇
セラへの説明が終わった頃にはフィオーラの報告も完了していて、彼女たちが会議室に来る前に話していた通り解散となった。
そして、セリアーナたちは揃って彼女の部屋に移動した。
「貴女たちは下がっていいわ。ご苦労様」
「……はい。それでは、失礼します」
部屋に入ると待機していた使用人たちを下がらせて、彼女たちだけとなった。
セリアーナが寝室で着替えをしている間に、テレサはお茶の用意をしている。
残ったセラとフィオーラは先にソファーに座ると、会議室でセリアーナたちが何を話していたかをセラがフィオーラに伝えていた。
セラが話を始めた当初は、セラが全く予定が決まっていないことに彼女と同じようにフィオーラも疑問に思っていたようだが、すぐにセリアーナたちの考えが理解出来たのか、納得顔をしていた。
一方セラはそのフィオーラの表情を見て首を傾げている。
「フィオさんは何か気付いたの?」
「ええ。もっとも……大したことじゃなさそうね。使用人も下がらせたことだし、奥様が後で話してくれるでしょう。そうよね? テレサ」
キッチンで支度をしているテレサに向かって声をかけると、彼女はこちらに向かって小さく頷いた。
「ほぅ……」
「まあ……貴女にとっては悪い話じゃないはずよ。むしろいい話じゃないかしら?」
「ふぬ? 忙しくなるんなら、大したことは出来ないけど前もって教えておいてくれたら余裕が持てるんだけどね?」
困ったような表情でそう言うセラを見て、フィオーラは笑いをかみ殺しながら続ける。
「貴女の役割が大したことない……なんてことは無いと思うけれど、心配しているようなことにはならないはずよ」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚