2002 セリアーナ side 3
セリアーナに指摘された人材不足について、リーゼルたちは三人で何事か話していたが、すぐに「今はどうしようもない……」と首を横に振った。
「セラ君の代わりを務められる者はいないか……」
「騎士団幹部、冒険者、リアーナとゼルキスの貴族……それをあの娘一人で賄っているわけだし、同じ役割を果たせる者を見つけることも育てることも不可能でしょうね。それでも、一つずつなら不可能じゃ無いはずよ?」
三人ともセリアーナの言葉の意味がわからなかったのか、揃って「?」といった表情を浮かべたが、リーゼルがすぐに理解したようで、使用人たちが控えている方向に目だけ動かした。
それを見たセリアーナは満足そうに口の端を上げている。
リーゼルは使用人たちに見えないように小さく頷くと、「それなら……」と少々声を大きくして話を続けた。
「将来的にセラ君を補佐する専属の班でも用意しようか。彼女にしか出来ない役割はどうしようもないが、君が言ったように他のことなら代わりに出来る者がいるはずだからね」
「騎士団の仕事に関してはテレサ殿がいますが……彼女の補佐や代理を出来る者も育てていく必要がありますね」
「冒険者に関しては……奥様が連れて来た連中が近いうちにその役割を果たせるでしょうしな」
さらに、リーゼルに合わせるようにオーギュストとカーンも声を大きくしている。
その甲斐あって、使用人たちにも話はしっかりと届いているようだ。
先程までは微動だにせず直立していたが、今は無言ではあるものの互いに視線を交わしては頷き合っている。
領主やその夫人に、騎士団団長に冒険者ギルドの支部長……と、領地の幹部が揃って会談を行っている場でそんな素振りを見せたら叱られてもおかしくないし控えるものだが、先程からリーゼルたちの声が大きくなっているのは、自分たちにも聞かせるためだとわかっているんだろう。
しばらくの間リーゼルたちが話しているのを黙って見ていたセリアーナだったが、ふと「テレサ」と、微かに聞こえる程度の声で隣に座るテレサの名を呼んだ。
「どうしました?」
セリアーナはその声に応えずに、黙って会議室のドアに視線を向ける。
何を言わんとしているか理解したテレサが「ああ……」と呟いてすぐに、外からドアがノックされた。
そして、警備の兵が中に入って来ると真っ直ぐこちらに向かって来て、リーゼルに向かって報告をする。
「失礼します。セラ副長とフィオーラ殿が入室許可を求めていますが……どうされますか?」
「構わないよ。入ってもらってくれ」
その指示を受けて、警備の兵はすぐに廊下に引き返す。
「セリア?」
「私は呼んでいないわ」
この会議に参加せずに外に出ていたはずのセラたちがやって来たのは、セリアーナが何か指示を出していたのかとでも思ったのか、リーゼルはセリアーナに視線を向けるが、彼女は首を横に振った。
「もっとも、部屋に戻っていなければこちらに来るだろうとは思っていたけれど……」
「そうだね。これ以上ここで話すことはないし、彼女たちの報告を聞いて解散としようか」
リーゼルの言葉に皆が頷いた。
◇
「こんばんわー。特に何かあった訳じゃないけど、まだセリア様がこっちにいるって聞いたから来ましたよー」
セラの正直な言いように、【小玉】に乗ってすぐ後ろからついて来ていたフィオーラが笑いをこらえている。
「いや、構わないよ。街に何も問題が起きていないのならそれが一番だからね……。とは言えだ、折角ここにはオーギュストやカーンがいることだし、報告をしてもらっていいかい?」
リーゼルに報告を求められたセラは、迷わず背後を振り返ると、フィオーラに「フィオさんお願い」と丸投げをした。
その有様に、リーゼルたちは目を丸くしているが、セリアーナや当のフィオーラは予測していたのか、驚いた様子を見せずに「はいはい」と言いながら前に出て来た。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚