2000 セリアーナ side 1
「どうぞお入りください」
セリアーナは会議室のドアを開けた兵に「ありがとう」と礼を言って、テレサと共に中に入る。
中にはリーゼルの他にオーギュストと彼らの補佐数名に、冒険者ギルド支部長のカーンたちが待っていた。
会議室を選んでいることからある程度人数がいることはわかっていたし、ここにいる者たちの顔ぶれはセリアーナも予測出来ていた。
議題に関してもそうだったが、しかし。
「……クラウスたちはいないのね? 貴方たちだけなの?」
案内された席に着くと、まずはこの人選について訊ねた。
集まった者たちが騎士団側の人員ばかりで、商業ギルドの者たちは誰もいない。
内容を考えたら商業ギルドも無関係ということは無いはずなのに……と、セリアーナが不思議そうに部屋の中を見ている。
「今晩は領都と周辺の警備や巡回についての話だからね。彼らはまた別の機会に話をするよ。呼びつけて悪かったね……セラ君は一緒じゃないのかい?」
セリアーナの席の向かいに立っているリーゼルは、頷きながら彼女の質問に答えるが、セラが一緒じゃないことが不思議らしい。
遅れて来るとでも思ったのかドアの方に視線を向けているが、その彼にセリアーナは「来ないわよ」と答えた。
「貴方が参加してもしなくてもいいと言ったのでしょう? 今日は疲れたから止めておくと言っていたわ。その代わり、フィオーラと一緒に街の様子を見て来るそうよ。何か気になることがあるみたいね」
「気になることか……」
リーゼルは呟きながら、振り返って後ろに控えているオーギュストを見た。
「ここ最近領都周辺での魔物との戦闘が続いていますし、そんな中で魔物を引き寄せかねない薬品が入った袋を持ち込みましたから、その警戒をしているのでしょう」
「ふむ……今のところ何も異常は報告されていないが、彼女たちも調査をしてくれるのはありがたいことだね」
リーゼルはオーギュストに頷きながら席に着くと、まだ立ったままの三人に声をかけた。
「とりあえず……こちらも話を始めようか。皆もかけてくれ」
そして、全員が席に着くと、使用人にお茶の用意を命じてからリーゼルは話を切り出した。
◇
議題は今日の騎士団の任務で一の森や南の森の魔物を大量に討伐した影響の調査と、雨季明けの領内の巡回に関してだった。
もっとも、会議室にはリーゼルの補佐に加えて、使用人たちも控えさせたままでいることからわかるように、重要な話ではない。
正式な手続きを経たら、騎士団や冒険者ギルドからでも聞ける程度の情報ばかりだ。
それでも敢えてセリアーナを呼んだのは、雨季明けに備えて彼女側にも情報を正確に共有しておきたかったからだろう。
両組織には彼女側の人間が多く所属しているし、それを考えれば妥当な判断だ。
一通りの説明が終わると、セリアーナは納得したように頷いた。
「まあ……概ね予測していた内容ではあったわね。私からは問題はないわ。必要な者を動かせばいいんじゃないかしら?」
「そう言ってくれると助かるよ。昨年の西部の影響で、今年は何かと決定が遅れてしまっているからね。もちろんセラ君に関しては僕から何か指示を出すようなことはない。君に任せるよ」
リーゼルの言葉に、セリアーナは「そうね……」と溜め息交じりに頷いた。
その様子が気になったのか、リーゼルは一息間を置くと「どうしたのか」と訊ねた。
「いつもセラに接待役を任せているでしょう? 今年はどうかしら……と思って」
「……セラ君に何かあったのかい?」
リーゼルはそう言うと、隣の席のオーギュストに顔を向けた。
「魔物との戦闘に加えて、追跡や調査を任せましたが……負担だったのでしょうか?」
そして、今度はさらに奥に座るカーンに二人の視線が集まった。
「いや……それくらいって言い方をするのもなんですが、セラ副長はダンジョンでも一の森の浅瀬でもそういったった役割はしょっちゅうやってますよ? そこまで負担になるとは思えませんが……」
そう言って、揃ってセリアーナに視線を移してきた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚