1999
櫓の上にある監視所に到着してから、一の森の魔物たちを見ながらの兵たちの解説が行われている。
訓練場に併設されている兵舎には兵の数が揃っているし、東門の詰め所の兵たちとも連携は取れてもいる。
今晩俺たちが外に出て来たのはたまたまではあるが、フィオーラは魔物の解体時に出る廃液の行方や影響がちょっと気になっていたようで、彼らの話から問題が無いと改めて認識出来たようで満足そうにしている。
「思い付きではあったけれど……中々有意義な時間だったわ。セラ、そろそろ引き返そうと思うのだけれど……」
一通り領都は見て回ったし、この訓練場から一の森を兵の解説付きで見ることも出来た。
彼女が言うように、当初の目的は全部クリアしたわけだし屋敷に戻ってもいいんだが……。
「何か気になることがまだあるのかしら?」
俺が返事をせずに森の方に視線を向けたままでいると、フィオーラが首を傾げながら前に回り込んできた。
「私からだとおかしなようには見えないけれど……」
フィオーラは俺の頭上に浮かんでいる目玉を見ている。
確かにここから魔力の流れを読んで魔物の気配を探っている彼女よりは、恩恵品の効果でただ見るだけでいい俺の方が余裕があるし、色々細かく見ることが出来るのは確かだ。
ただ、俺が気にしているのはそれではない。
「今日の昼間は森がどんな様子だったかとかわかるかな?」
ここから距離は離れているが、同じ一の森でそれなりに派手な戦闘を行っていたし、北に逃げていった魔物の件もある。
何か変化はあったりしなかったんだろうか?
「昼間か……? 俺たちは日が落ちてから交代したから、ちょっとわからないな……。引継ぎでも特に変わったことはなかったぞ?」
「そう言えば副長たちは一の森の魔物の始末に向かってたな。そっちで何かあったのか?」
俺の言葉に兵たちは互いに顔を見合わせて考え込んでいたが、結局は俺が気にしていたことに関わる情報は出てこなかった。
「何かあったってほどじゃないけど……魔物が一体街道より北に逃げてったんだよね。ソイツの影響が何かなかったかな……って思ったんだけど、その様子だとなさそうだね」
今朝の任務に参加していない彼らも、ある程度内容は知っているようだが詳細は知らないようだ。
一目でわかるような変化は起きていないようだし、気にするほどのことじゃないのかもしれないか……と森から視線を戻すと、昼間のことを思い出そうとしているのか、首を傾げている兵たちの姿が目に入った。
「副長たちが向かったのは……確か一の森の川の手前だよな? その辺りで出くわして北に逃げていったってことは、この前を通っているはずだよな?」
「常時ここから監視をしているわけじゃないが……中からは誰かが見ているだろうし、デカい動きがあれば気づくはずだ。何の報告も無かったってことは……そういうことだよな?」
そう言って彼らはこちらを見た。
そういうことだよなと言われても、俺もよくわからないしな。
「どうなんだろうね? あの魔物は街道を越えていったし、今更こっちに戻って来ることはないと思うしね。まぁ……昼の人たちから報告が無かったのなら、大丈夫なんじゃない?」
何の答えにもなっていないような気がするが……これくらいしか言えることはない。
◇
もうあれ以上見るものは無かったため、あの後すぐに下の兵舎に戻っていった。
一応上で話したことを残っていた兵たちにも話して、念のため一の森の警戒をこのままお願いしてから屋敷に戻ることにした。
最後の一の森の件はちょっとスッキリしなかったが……ここ最近の大量の魔物の死体処理や、あの薬品の処理の影響は街には無いことが分かったし、今晩の突発巡回は悪いものではなかった。
とりあえず雨季の間俺が何か急いで片付けるような問題は全て片付いたと考えていいだろう。
一先ず……今日はもう部屋に戻ってゴロゴロ過ごそうかな?
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚