1997
排水口を確認した後は、そのまま街壁を越えて街の外に出た。
街に隣接する処理施設を始め軽く周囲の様子を確認した後は、一の森を見るために東側に移動することにした。
何だかんだで領都中をグルグル飛び回ることになってしまったが、当初の予定通りのコースに戻れたな。
さて、その一の森の様子見だが……森の側まで近寄ったりはせずに、騎士団の訓練場の上空から眺めることにした。
一の森まで少々距離はあるが、この辺は他と違って一の森を通る街道もあるし、道から外れた場所も整備されているから、もし魔物が出て来ていたらすぐに発見出来るようになっている。
とりあえず訓練場から見える範囲では、魔物が森の外に出てきたりはしていないようだ。
だが、森のすぐ端に小型の魔物がうろついているのが見て取れる。
「……夜の一の森って見たことは数えるくらいしかないんだけど、アレは普通なの?」
一の森を見ながら、俺は隣に浮いているフィオーラに訊ねた。
彼女は俺と違って【妖精の瞳】もヘビの目も無いが……アレだと関係ないだろう。
フィオーラは「そうね」と呟くと、腕を組みながら器用に【小玉】の上で後ろに身を反らした。
「森から出て来ていない以上は、領都やココの様子を窺っているだけなんでしょうけれど……とくに強さは感じないけれど、貴女から見てどうなの?」
「距離があるから種類まではわからないけど、大したことない強さの魔物だね。よくいる偵察役とか一体でうろついてる魔物……だとは思うけど」
あの状況が通常なのか異常なのかどうなのかだよな。
東街の水路にちょっと魔力が漏れていたとはいえ、極少量で魔物を引き寄せるほどの量ではなかった。
フィオーラが処理出来てないのもあるだろうが、結局は処理施設に送られるし、街の外にあの水が漏れるようなこともないはずだ。
ってことは、あのウロウロしている魔物とは関係無いはずなんだが……と、二人で首を傾げていると。
「副長! フィオーラ様!」
と、下の兵舎から俺たちを呼ぶ声がした。
「……彼らに聞く方が早いわね」
「そうだね」
今は出て来ていないが、ここには一の森を監視する櫓があるし、彼らの方が夜の森を見慣れているだろう。
俺たちは宿舎に向かって下りていった。
◇
宿舎に入った俺たちは、まずはこんな夜に二人で何をしに外に出ていたのかの説明をした。
急に何を……と思われるかと思ったんだが、ここ最近魔物の死体処理を訓練場で何度も行っているし、彼らも普段より一の森の警戒は強めていたらしい。
ついでに、先程の東門の兵たちの動きにも気づいていたそうだ。
お陰で話は早かった。
「それなら、あの状況は普段通り……と言って構わないのね?」
「ええ。雨季は我々の街の外の警備頻度が下がっているため、夜行性の魔物がこちらの様子を探りに来ているんです。もっとも、窓辺に明かりを集めたり、定期的に俺たちも櫓に上がって明かりを点けているんで、襲ってくるような隙は見せていませんがね」
「言われてみれば……配置が変わってるね」
「気やすめ程度だが……外からでもよく見えるだろう?」
彼が言うように、普段は壁に設置している照明の魔道具が窓辺に移されている。
木戸も閉じていないし、外からでも一目で中に人がいることがわかるだろう。
どれくらい効果があるのかはわからないが……普段とは違うってことを魔物たちにも伝わっているんなら十分だろう。
俺が窓辺で話している間、フィオーラも他の兵たちと話をしている。
しかし。
「もちろん、アレだけ近づいて来ているのを放置は出来ませんから、雨季明けには隊長たちとあの辺りの魔物を追っ払いに出るんで、安心して下さい」
「副長と一緒にいるんなら……雨の中でも大丈夫なんですよね? 櫓に上がって見ますか?」
フィオーラを前にした時の態度がテレサともエレナとも違っている。
……一応任務中だとそんな素振りは見せないが、コイツらもフィオーラには弱いみたいだな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚