1995
フィオーラは魔導研究所の所長として、領都の結界を始めとしたリアーナ領の大規模魔道具の設計や管理に加えて、騎士団や冒険者ギルドで使われている独自の魔道具の開発等々に携わっているのは有名な話だ。
加えて、ジグハルトの相棒的ポジションでもある。
少なくとも、領都で暮らす大人だったらまず名前は知っているだろう。
ただ、フィオーラの姿を直接見たことがある者は結構少なかったりする。
彼女の家は領主の屋敷と同じ高台の上に建っているし、職場は屋敷の地下にある魔導研究所だ。
そして、仕事が終わった後は屋敷のセリアーナの部屋に立ち寄って、時間が経ったら屋敷のすぐ側にある自宅に玄関から帰っていく。
基本的にはその生活で、研究所の職員や屋敷の使用人くらいしか顔を合わせる機会はない。
大量の魔物が襲ってくるような緊急事態で迎撃するために、兵や冒険者を率いて街の外に出る事もあるから、外部との接触がゼロだなんてことはないんだが……まぁ、ある意味セリアーナ以上にレアキャラだ。
ついでに、セリアーナの次くらいに俺の施療を受けていることもあって、実年齢に比べると大分若い。
セリアーナとまではいかないが、エレナとは見ただけだと年齢差はわからないくらいだ。
そのレアキャラの美人が出てきたら、ここのおっさんたちは……そりゃー……大人しく言うこと聞くだろう。
そんなことを話していると、フィオーラはおかしそうに笑っていた。
彼女の部下たちは自分に慣れてきたからなのか、最近扱いが素っ気なくなって来ていて、そういった扱いをされるのは予想外だったらしい。
「貴女の加護に感謝ね」
そう言うフィオーラの声は、いつもより心なしか機嫌よさそうに聞こえた。
「フィオさんにはそれ以上にお世話になってるし、それは全然気にしないでいいんだけどね」
そもそも彼女をウチに引き入れる条件でもあったしな。
「そんなことないわよ? 貴女くらいしか出来ないことですもの」
「まぁねぇ……っと、そろそろ北門だけど……特に荒れたりしてないね?」
冒険者ギルドを発ってから、俺たちはお喋りをしながら北街に向かって飛んでいた。
森の様子を見る前に、まずは街の状況確認が優先だな。
ちなみに、目的地は外国人居住区がある東側じゃなくて、職人たちの工房がある西側だ。
真っ直ぐ北に向かうんじゃなくて、グルっと街壁沿いに回りながら飛んでいたため、途中で孤児院跡の上も通過した。
まだ新しい建物の建築は始まっていないが、整地はもう済んでいる。
昔はグチャグチャになっていた場所だったのに、そんな名残は一切なかった。
「名残惜しいかしら?」
俺の事情を知っているフィオーラがそう訊ねてくるが……。
「いや……それは無いね」
キッパリと言い切った。
元々いい思い出がある場所でもないし、綺麗で暮らしやすい場所になるのならそれが一番だ。
しかし……。
「ここが綺麗になったのはいいけど……ここに溢れてた水が流れて行っちゃってるよね。大丈夫……あぁ、それでアッチを見に行くんだね?」
「そう言うことよ」
遊水地とまではいわないが、この一画が溢れた水が街に流れ込まないように受け止めていたのに、それが水路に全部流れ込んでしまっている。
街に流れ込んでいる様子はないし、上手く流れてはいるんだろうが……折角外に出ているんだから、確認しておきたいんだろうな。
「そう言えば、先程の報酬額が高いんじゃないか……と言っていたわね?」
「うん。雨が降る中夜間に……ってことを踏まえても、ちょっと高すぎるんじゃないかなって思うけど……」
他に比べられるような依頼がないから、報酬の相場がいくらなのかってのはちょっとわからないが、それでも三十分そこら水路を見回るだけで金貨一枚ってのは、間違いなく高額報酬だと思う。
「東門だけじゃなくて、街の各所の見回りを含めた騎士団との合同任務にすることになったわ。今日の彼たちは作業量が少ないけれど……特別ね」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




