1985
「人手不足……ね」
セリアーナは俺の言葉をそのまま呟くと、目を閉じて腕を組んだ。
話の流れ的に、領内の目ぼしい人間のことでも考えているのかもしれないが……。
「誰か良さそうな人はいた?」
俺の声にセリアーナは片目を開けると、フッと笑ってこちらを見た。
「よくわかったわね? でも、お前の代わりを一部でも出来る者というと……いないわね」
そして、首を横に振る。
「いないよねぇ……」
俺の補佐役を選び出すために……ってわけじゃないが、領内の優秀な人間を領都に呼び寄せたり雇用したりは、リーゼルたちが人材発掘の一環として普段からしていることだ。
そこから漏れた都合のいい人材が転がっているかというと、そんなわけないよな。
「現状だと、性別抜きにしてもテレサとエレナくらいよね」
セリアーナはそう言ってしばらく黙ったかと思うと、溜め息を一つ吐いて口を開いた。
「無理ね。今は外の現場に出る任務ですらその二人しかいないのに、街中での任務となると……女性であることを求められる機会が多いもの」
「そうなんだよね。女の人じゃないと他所の代官の奥様とかと一緒になる時に困るし……外の方はそのうちどうにかなりそうなんだけどね」
例えば外の魔物討伐の指揮の代理を任せるのなら、実は探せばいないこともない。
最近ウチに来た冒険者のルイたちあたりだと、十分後方で指揮を任せられそうだし、俺と一緒に戦った経験もあるから連携も問題ないだろう。
問題は、まだリアーナに来たばかりで兵士や冒険者たちからの信頼が薄いことだろう。
今は主にダンジョン探索を繰り返し行っていて、冒険者間で徐々に名前が知られているし、もう少し時間が経てばその問題は解消するだろう。
テレサもそれを狙って、彼女たちに色々任せているところもある気がする。
「ルイたちね? 彼女たちに関しては、私も報告を受けているけれど……テレサがあちらこちらに派遣しているから、順調に顔が売れているそうね。彼女たちならお前の補佐役にはいいかもしれないわね。もっとも……」
セリアーナはもう一度溜め息を吐いた。
「彼女たちも地位が必要な任務ではお前の代わりは果たせないわね」
「これでもオレは結構偉い人だからね……。でも、外を任せられそうってのはいいことだよ」
「それもそうね。まあ……時間をかけてでも、範囲を広げて募集をする必要はあるわね」
「優秀な人はいくらいてもいいもんね。……ところで、ジグさんの代わりを出来るような人っていると思う?」
アレクと一緒にジグハルトも北の拠点に行ったきりになっているが、ここ最近の彼の領都周辺での活動は、狩場に潜って大量の魔物と戦って……とかよりも、街の防衛だったり魔道具の開発や実験だったりが多めで、どうしても抑えめになっていた。
何でもこなす人ではあるが、屋内でのデスクワークよりもフィールドワークの方がどう考えても好みなんだろう。
今は北の拠点周辺で楽しく暴れているんだろうが……ことあるごとに彼がいたら……って考えることもある。
「いないでしょう? アレはあらゆる意味でお前以上に特殊よ」
「……まぁねぇ」
彼のデスクワークを代行出来る者がいるのなら、たまに遠出することはあっても、領都周辺で対魔物相手の活動に専念してもらえるんだが……簡単に見つかるもんじゃないか。
今度は俺が溜め息を吐くと、セリアーナが苦笑している。
「もう少しの期間領都に人材を集中させておいて、一の森の拠点などを一気に仕上げるのが本来の方針だったのだけれど、北の森の件でその方針を変えることになったでしょう?」
「東に広げる前に、領内の拠点周辺を仕上げてしまうんでしょう? カエルもどきとか地下水路とか色々見つけちゃったしね」
もしそれを見つけられずに放置したままだったら、いずれ大事になっていただろうし、見つけることが出来たのは領地にとってもいいことなんだが……俺にとっては自分でちょっと面倒な事態を呼び込んでしまった気もする。
困ったな……と考えながら、ソファーに再び倒れこんだ。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚