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襲撃から2日後。
ようやく一連の被害状況のまとめや討伐した魔物の死体の回収が終わった。
まずは、ルトル以外の被害状況。
これはほとんど無かった。
魔物の大半がルトルに集中していた事。
多めに援軍を送っていた事や、開拓村内にも冒険者が多く駐留していた事で戦力に余裕があり、そして、発見が早く先手を打つことが出来た事が挙げられた。
南の拠点は他所に比べて、川沿いにそちらに流れていく魔物が多数いたが、ルバンが大活躍したとかでむしろ一番被害が少なかったらしい。
今回の件で確固たる地位を築いたし、万々歳だろう。
で、我が街ルトル。
重軽傷者は多数出たものの、死者はゼロ。
そして街や街の西にある農業地帯も被害ゼロ!
強いて言うなら、惜しみなく消費した上に他所へも大分送ってしまったから、ポーション在庫が乏しくなった事だろうか。
死者がゼロで済んだのはそのお陰でもあるが、ある程度在庫が補充されるまでは冒険者達の活動は控えてもらうよう言ってある。
幸い冬という事もあって、そこら辺は大丈夫だろう。
次に成果。
倒した魔物の数は600体近く。
討ち漏らした分も加えるとさらに増えるが、この被害の少なさは快挙と言っていい。
全てが綺麗に倒せているわけでは無いから、使える物は半分かあるいはそれ以下になるが、それでも流石にこの街の職人だけでは手が足らず、隣の街や領都にも応援を要請している。
まだここはゼルキス領の為、今回の利益全部を独占する事は出来ないが、その分利用できるものは全部利用するつもりらしい。
職人達は冬の間の大仕事が、商人達は今冬は間に合わないが、魔境産の革製品を大量に仕入れる事が出来る。
重傷者は教会が運営する治療院ではなく領主主導の救護院に運ばれ、そちらで治療を受けている。
従来だと、代官と冒険者ギルド、そして教会の3者で事に当たっていたが、教会は今回完全に省かれた状態だ。
これで死者が大量に出ていれば介入できただろうが、それはゼロ。
回復魔法を使える者も自前で揃えられ、更にセリアーナにエレナとフィオーラが治療の手伝いに出向いている。
救護院で治療を受ける事は絶対では無く、治療院で受けても構わないが、どうせなら一緒に戦った側で受けたいと思うのが人情だろう。
おまけに、街で名の知れた上流階級の美女3人が手伝いをしている。
まぁ……行くよね。
それが駄目押しとなって、重傷者はもちろんポーションで治った軽症者も念の為にと救護院へ治療を受けにやって来た。
完全に教会は蚊帳の外だ。
それが何を意味するかと言うと、今作戦で冒険者達が得た聖貨を買い取る機会を失うという事だ。
合計で50数枚程の聖貨を得たそうだが、中にはガチャの為に貯める者もいるだろうが、皆がそういう訳ではない。
しっかりアピールして来たらしいし、昨日だけですでに20枚近くの買取を済ませたそうだ。
更なる買取を目指して、今日も張り切って救護院に向かっていった。
乗り切れたから言える事だが、トータルとしては大分プラスになる見通しだ。
◇
目を覚ました。
窓の外を見るともう日が暮れている。
二度寝にしては本気を出し過ぎたか……。
モソモソ布団から手を出し額に手を当てる。
「ふむ……」
うん。
多分平熱。
襲撃の翌朝、熱を出しそのままダウンしていた。
厚着していたとはいえ、冬の夜にずっと外で風に当たり続けていたのは良くなかったらしい。
朝はまだ熱があったが、もう体にだるさも残っていないし、大丈夫かな?
しかしセリアーナ……いい布団を使っている。
この2日間、彼女のベッドの隅っこで寝ているのだが、婚約祝いやらで色々もらっていた中の一つだったと思うが、領都や王都で使っていたのよりもずっといい。
「……みんないるか」
壁越しに隣室の様子を見ると、一同御揃いの様だ。
ソファーにかけている所を見ると雑談している模様。
自分の恰好を見ると寝巻だが……まぁ、今更だ。
これでいいか。
「おはよーっ!」
ベッドから降りてすぐの所に置いてある【浮き玉】に乗り、寝室から出て行くと既に俺が起きている事に気付いていたのか驚いた様子は見えなかった。
驚かし甲斐が無い連中だ……。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・7枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・3枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚