1952
「言ってみるもんだねー……」
執務室での用事を終えた俺たちは、セリアーナの部屋に戻るために再び廊下を進んでいた。
明日行われる一の森の調査と魔物討伐への参加要請は、すぐにリーゼルがオーギュストに向けて俺も参加させるようにと指示書を出してくれた。
オーギュストが考えた上で俺は不参加って決めたのに、簡単に覆して大丈夫だろうか……と要求した俺の方が心配になるくらいだ。
「後で団長から連絡があるそうだけど……大丈夫かな?」
「問題無いでしょう。そもそもお前を外したのだって、確かに一番隊との連携が不得手だってこともあるでしょうけれど、任務続きだったお前を休ませるためでもあるんじゃないかしら?」
今後のリーゼルとオーギュストの関係に何かひびが入ったらどうしよう……と不安なる俺に対し、セリアーナはまったく気にした様子もなくそう言ってきた。
「そうなの?」と聞き返すと、彼女は「そうよ」と一言で返してくる。
「一番隊にも外の任務を与えたかったのはもちろんでしょうけど、それならお前は上空からの偵察や森の探索に専念させたらいいわけでしょう? まあ……オーギュストもお前相手には命じづらかったってことはあるかもしれないわね。でも、お前の方からそれで構わないと言えば、オーギュストも何も言わないわ」
「なるほどなぁ……」
実際のところはどうなのかわからないが、確かに説得力はあるな。
俺はリアーナでは色々な肩書を持っていて、他所への視察だったり隊を率いて討伐に出向いたりなど、その時々で色々切り替えている。
そして、そのことを皆も知っているから、俺が誰と一緒でも特に変には思われないはずだ。
それだと、オーギュストが俺に気を使っていたって考える方が自然だろう。
ともあれ、要望は出したし多分それも通ることになるから、また後でオーギュストから連絡があるだろうし、それに向けて準備しておこう。
◇
部屋に戻ってしばらくはリーゼルの部屋に向かった時のままの恰好だったんだが、オーギュストからの連絡はなく、結局普段のラフな恰好に着替えていた。
セリアーナは部屋にいるものの、目を通したり片付けたりする書類があるため、そちらに取り掛かっていて、急いで片付ける必要の仕事がない俺も、資料読みなどをして時間を潰している。
「まだ誰が来るのか決まってない領地とか結構あるんだね」
戦争の影響で、中々領地を離れることが出来ないこの国や東部諸国のお偉いさん方や、逆の意味でこちらに来ることが出来ない西部のお偉いさん方は多く、雨季がもう間もなく明けるはずなのに、リアーナへの来訪は決まっていても誰が来るか未定の家が残っている。
王都周辺には到着しているんだろうが、そこから誰をウチに送るか……ってのはまだ決まっていないんだろう。
雨季前から進展なしだな。
書類を見ながら俺がそうぼやいていると、セリアーナが苦笑しながら口を開いた。
「ウチに来づらい家もあるんでしょうね。特に、北の森の件も含めると王都に到着してから知った情報もあるはずよ。雨季の間も休むことは出来なかったんじゃないかしら?」
「その件もあったかぁ……」
「ええ。直わかるでしょうけれど……屋敷に滞在する者は想定していたよりも少ないかもしれないわね。北街への処置は進んでいるけれど……」
北街には他国の者の屋敷が多数あるが、怪しい動きをしていた者や隠し扉とか作っている家に手入れが入ったり、騎士団の見回りが増えていたりするからな。
まだお客さんを泊めるにはちょっとバタバタしている気がする。
「貴族街だけじゃ足りないかな?」
俺のその言葉に、セリアーナは「フッ」と笑っている。
「屋敷から距離をとりたがる者もいるでしょうね」
「やましい人たちがいるんだね」
「そういうことね。それよりも……」
セリアーナは話を中断すると、ドアの方に視線を向けた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




