1949
任務の状況などの報告をしながら、俺はオーギュストからの頼まれごとも片付けることにした。
セリアーナは足を運んだことがない場所だが、エレナは近くまで行ったことがあるらしく、俺が地図に印をつけた場所がどんな環境なのかはわかっているようで、セリアーナに説明をしてくれている。
むしろ現地を直接動き回ったとはいえ、ずっと宙に浮いていた俺よりも詳しいくらいだ。
俺がオーギュストから預かって来た地図は南の街道がメインに描かれた物で、一の森は簡単にしか描かれていないため、ただ単に地図を見るだけだとわかりにくいんだよな。
そこをエレナが補ってくれているお陰で、ほとんど俺が喋ることなく作業が進んで行く。
「ここには何があるのかしら?」
セリアーナはしばらく地図を眺めていたんだが、俺が目印を付けた辺りの様子をエレナに訊ねた。
魔物の群れが留まるとしたら、そこは縄張り内で尚且つ寝床があることが多いんだが、例によってそこに何があるのかは地図からじゃわからない。
ちなみに、俺もその辺の状況はわかっていないため、エレナの話に耳を傾けることにした。
「その辺りには確か小川が流れていたはずです。勾配もなく多数の魔物が集まりやすい場所ですね。それと、その川はルバン卿が治める村の側を流れるあの大きな川に繋がっています」
そう言って、エレナは地図の上を指でなぞっていく。
小川は緩く曲がっていて、一の森の浅瀬の南側を広範囲に流れている。
位置的に、浅瀬と奥とを分断する感じになっているな。
そのため、川のこちら側と向こう岸側とで生息する魔物の種類も違っているそうだ。
「強さはそこまでじゃなかったし、オレが見たのは多分こっち岸の魔物だね」
地図から顔を上げてそう言うと、エレナは「そうだね」と頷いたが、何やら難しい表情を浮かべている。
「何か気になることでもあるのかしら?」
「ええ……団長が一番隊の兵と討伐に向かうと決めたのは、戦況次第では奥の魔物たちが来るかもしれないからでしょうね。それと……」
「それと?」
「まだ薬品が入っていた袋を所持した魔物は始末出来ていないんでしょう? 迂闊に魔物を倒して川に落としてしまったら、下流にまで流れてしまう可能性が高いよね」
「まぁ……どれくらいの川かは知らないけど、この雨だし水量が少ないってことはないだろうね」
あくまで近くにまで行っただけだが、川が堰き止められている様子もなかったし、きっと下流まで一気に流れていくだろう。
そして……。
「あぁ。川が合流して港の方まで薬品の効果が広がっちゃうかもしれないのか」
もっと遠くならともかく、ルバンの村からそこまで離れていない位置だ。
屋外に雑に放置されていた薬品があの幅が広くデカい川で、希釈されずにどこまで効果を発揮出来るかはわからないが……無視することは出来ないだろう。
「そうならないためにも、魔物との戦闘でも常に気を配っておく必要があるからね。両隊の隊長が不在の今、それが出来るのは一番隊くらいじゃないかな?」
「そうだねぇ……」
テレサなら出来そうな気もするが……少なくとも冒険者を交えた混成部隊じゃ無理だろう。
俺が頷いていると、隣からセリアーナの「私が行けたら簡単なのに……」という小さなボヤキが聞こえた。
それはそうだろうが……と、どう反応しようか迷っていると、エレナにも聞こえていたようで、彼女も困ったような表情をしていた。
◇
あれからしばらくすると、テレサも風呂から出て来た。
それに合わせるように使用人たちがお茶の用意をしてくれて、このまま皆でのんびりと寛ぐのかな……と思っていたんだが、一息ついたテレサは地図の書付の内容を確認をすると、それを持って部屋を後にした。
もちろんそれだけじゃなくて、他にもセリアーナと話していたことを報告する必要があるからだろうが……彼女も朝から南門に詰めていたはずなのにな……と、彼女の体力に感心しつつも、俺はソファーに寝転がっていた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




