1932
合流を果たしてから、兵たちと一緒に領都に向かって順調に進んでいた。
任務中は俺と俺の班は基本的に森の中に入っていたから、街道の様子まではわからなかったんだが……。
「……結構様子見に出てくる魔物はいるみたいだね。行きはそこまでじゃなかったよね?」
街道を移動していると、遠巻きにだが俺たちの様子を見に来る魔物の姿が目に入るが、その頻度がかなり高くなっている。
流石に戦力差はわかっているようで襲って来たりはしないんだが、いくら中間地点を越えて領都側に来ているからとはいえ、ちょっと多すぎる気がする。
「俺たちもそうだが、副長が呼んだ処理班も街道を走ったからじゃないか? 人の往来がここ最近無かった中、急に大勢が馬で走り回ったんだ。加えて森の中に入り込んだりもしてきたし、森全体が警戒しているんだろう」
俺はその言葉に「なるほど」と頷いた。
今日はしっかりと武装した集団が朝から行ったり来たりしていたし、自分たちの縄張りにまで入り込んで来ては追い払われたりしていたんだ。
警戒心も高まっているんだろうな。
だが。
「理由はわかったけど……コレって大丈夫かな?」
南側の魔物たちは中間地点辺りで引き返していたそうだが、こいつらはどうなるかだよな。
領都の結界を無視して襲って来るってことはないと思うが、そのまま領都付近に移って来られても面倒だし……。
俺がチラチラと街道脇の魔物たちを意識しているのを見た兵たちも、街道脇に視線を向ける。
「領都を襲撃する……なんてことはないだろうが、魔物が集まるのはよくないな。カエルもどきの件もあるし、一の森や他所から魔物を呼び寄せかねない」
「今日はテレサ殿が南門に兵を集めているんだろう? いっそ始末してしまわないか?」
俺はその提案にしばし考えこむと、「そうだね」と頷いた。
領都の北や東と違ってこの南の森や街道ってのは、まだそこまで警戒しなくていいって場所だ。
この魔物たちを放置していると、ただでさえ人手が足りていない中でこちら側まで警戒しないといけなくなるし、戦力が集まっている今日のうちに片付けてしまうのが結果的には手間を省くことになるだろう。
「それじゃー、オレが先に……」
伝令役として南門に向かう……と言おうとしたが、兵の一人が遮った。
「いや、俺が行くから副長はこのまま隊を頼む」
そう言って馬を前に出すと、そのまま走らせて一気に離れていった。
「一人で先行させて大丈夫かな?」
俺の方が速いし単独行動には向いていると思うんだが……と考えていると、兵の一人が近づいて来た。
「アンタが一人で行ったら、そのまま釣られる魔物も出てくるだろう? 俺たちはこっちで囮だ。目立ち過ぎないように、真ん中に入ってろよ」
彼はそう言いながら、隊の真ん中に向かうように指差した。
それに合わせて、他の兵たちも俺が入るスペースを空けている。
「……了解」
俺はそのスペースに移動しながら、そういえば今日森で見つけた袋を届けに領都に戻った際にも、この辺の魔物を引っ張っていってしまったことを思い出していた。
俺が半端な高度で短い距離を短時間に何度も移動するのは、周囲に悪い影響を及ぼしたりするのかもな。
普段はそんなことは滅多にしないから気付かなかったが……気を付ける必要があるな。
◇
さて、俺たちは街道を領都目指して進んでいるんだが……初めは俺たちをつけてくる魔物は街道の東側の森だけだった。
だが、領都に近づくにつれて徐々に数が増えていき、さらには西側の森の魔物もつけてくるようになっている。
下手に刺激したりしないように、黙って速度を保ったまま移動しているが……正直なところ、さっさと片付けてしまいたい。
とりあえず、今のところ先行した兵が魔物に襲われたような痕跡はないし、前の方で戦闘が起きている気配も無いからそろそろ領都に辿り着いているはずだ。
向こうで討伐の準備が進められているだろうし、このまま引っ張っていけばいいんだろうが……落ち着かないな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




