1878
「ふむ……わかったよ。オーギュストの提案はまだもう少し詰める必要があるけれど、一先ず使用法を限定させることは承認しよう。それと、決定するまで研究所以外の使用は禁じよう。これでいいのかい?」
騎士団本部でオーギュストからも一筆貰った俺は、今度はリーゼルに届けるために屋敷の執務室に向かった。
毎度のごとく俺はフリーパスでリーゼルの下に案内されて、彼に新たにオーギュストの分も加わった手紙を渡したんだが……あっさりと受け入れられた。
思わず「あれ?」と声を出してしまうほどだ。
カーンにクラウスにオーギュストとそれぞれ状況はちょっとずつ違ったが、三人ともいくつか質問をしてきたりもしていたんだけどな……。
「うん? どうかしたのかい?」
「いや……なんかあっさり聞き入れられたと思って。支部長だけじゃなくて、団長の名前もあったのが効きました?」
俺の様子を不審に思って訊ねてきたリーゼルに、逆に訊ね返してしまった。
「三人とも、納得はしてくれたけど色々聞かれたんですよね」
俺がさらに続けると、リーゼルは笑いながら答えた。
「昨日回収した魔物の件は聞いているけれど、その三人が納得しているのなら僕が何か言うようなことはないよ」
「なるほど……。それはごもっとも」
あの三人はリーゼルの側近的存在で、彼らが揃って同じことを言っているんなら、わざわざ反対するようなことじゃないし、上手いこと役割を分担出来ているってことだろう。
「セラ君から見ても、彼らの意見は妥当だと思うかい? コレを持って来たと言うことは、君もその場にいたんだろう? 今朝議題に上がりはしたんだが、まだ情報が少な過ぎるからね。研究所や冒険者ギルドの報告を待ってからにする予定だったんだ」
ってことは、この情報は彼らにとっても待っていた物だったのかな?
「む……。まぁ、そうですね。オレはちょっと臭いはわからないけど、皆もの凄く苦しんでましたよ。普通に火を通して粉末にするとかなら問題はなかったし、使い方次第でしょーね。とりあえずフィオさんたちの要望は聞いた方がいいと思いますよ?」
運ぶだけで中身は読んでいなかったが、どうやら彼らの手紙には俺の名前は書かれていないようだ。
フィオーラは違うと思うし……カーン辺りが他の二人にフィオーラの考えでも付け加えていたのかもしれないな。
連携が取れているのはいいことだ……ってことで、俺は特に当たり障りのないことを答えておいた。
◇
リーゼルは俺の返事を聞きつつ、アレコレと指示書を書くと部屋の文官たちに渡していた。
横から見ていて、文官たちがカエルもどきの素材をポーションに利用出来ないのを残念がっているのがわかったが、リーゼルに直々に言われると流石に異を唱えることは出来ずに、すぐに処理を行っていた。
この分だと、お偉いさんを通してなかったら街の工房とかに流れていたかもしれないな。
危ない危ない……とカーンたちの気の利きように感心していると、一仕事終えたリーゼルに「セラ君」と呼ばれた。
「うん? どうしました?」
そろそろ部屋を出ようかな……と思っていたが、何かお使いでもあるんだろうか?
首を傾げていると、リーゼルも不思議そうな表情で話しかけてきた。
さらに、視線を感じて横を見ると、文官たちも俺の行動が気になっていたのか、こちらを見ている。
「君は今日はどうしたんだい? セリアたちは屋敷にいるが……別行動だろう?」
「……あぁ。昨日の続きが気になったからちょっとフィオさんと話しに行っただけで、たまたまですね。んで、そろそろ屋敷に戻ろうかなってタイミングで話が纏まったから、ついでにオレが運んで来たんです」
ちょっと簡潔過ぎる気もするが……余計なことを言うよりもいいだろうし、とりあえずこんなところだろうか?
話している間、リーゼルはジッと俺のことを見ていたが、小さく何度か頷くと「ご苦労だったね」と言ってきた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚