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「カエルもどきを素材に使った魔道具も臭くなるの? アレってミネアさんが帰る時とか、雨季明けに来るお客さんのための街道の見回りとかでも使うことになるんじゃない?」
「ああ……安心しなさい。臭いの元はカエルもどきの体内の液体よ。素材で利用する際にしっかり乾燥させてしまえば問題無いわ。ただ……」
フィオーラはそう言うと、ファイルを開いたままこちらに見せてきた。
「……ヘビとトカゲの魔獣かな?」
「ええ。別種族だけれど……そう遠くはないでしょう? こういった種の素材で作る薬品があるのだけれど、カエルもどきを使うのは避けた方がいいかもしれないわね」
そう言ってフィオーラが指したのは、毒薬や解毒薬。
そして、水で溶かすタイプの粉末状の薬品だった。
「中に残った体液が臭ってるってことなのかな? それなら、ちゃんと乾燥させたものでも駄目なの?」
俺の言葉にフィオーラは頷くと、先程まで俺たちがいた作業台の方に振り返った。
「どうも液体が一定時間体内に留まるとあの臭いが出るようなのよね……。加工する度にああなったわ。もちろん、ただの水でもよ。もちろん、元から体内にあった体液ほどではないけれど……」
「……へぇ。なんか溶けてるのかな? それとも……そんな性質なのかな?」
酸ならともかく、ただの水でもそうなるってことは後者の可能性の方が高そうだな。
「どうかしら? もっとも、成分に大きな変化は無かったし、他の魔物の素材でも効果に違いはないはずよ」
「そっか。それなら……特に困るようなことは無いってことかな? あぁ、でもポーションとかにも使えないってことなのかな?」
「そうね……今年のように素材の在庫が少なくなってきたら考えるけれど、ウチでは使いたくないわね。……大丈夫だとは思うけれど、回復用のポーション向けの使い方は難しいと騎士団に伝えておいた方がいいかしら?」
「昨日の今日だし、流石にあてにするようなことは無いと思うけど……帰りにでも伝えておくよ」
ウチの騎士団は、前線の部隊はもちろんダンジョン内部の休憩所などでも、かなり気前よく高品質なポーションを使ったりする。
直接の素材としてではないが、何かと色々なことに使えそうなこのカエルもどきを使用出来るのなら、さらに在庫に余裕が出来るだろうし、危険な場所での活動も一気に進むんだろうが……仕方がないよな。
フィオーラは俺に「頼むわね」と言うと、何かに気付きでもしたのか、不思議そうに首を傾げた。
「ところで、貴女は今日は何の用だったの? ……誰かに命じられて視察に来たってわけじゃないのよね?」
「おぉ……そういえば!?」
部屋に入った瞬間に見た光景に驚き過ぎて、何の説明もしないままだったことを思い出した。
まぁ……勿体ぶるようなことでもないし、わざわざ話すようなことでもない気がするが、とりあえず朝起きてからのことも含めて、フィオーラに話すことにした。
◇
「おはよーございまーす!」
職員が開けたドアを通りながら、大きな声で中に向かって挨拶をする。
「おう。朝からアンタが来るなんて珍しいな? どうしたんだ?」
俺の声と、そもそも急に俺がやって来たことに驚きカーンは目を丸くしているが、無視して彼の机の前に移動すると。
「フィオさんからです。はい、コレ」
フィオーラから預かって来た手紙を、カーンの机に置いた。
「フィオーラ殿……? 確か今は外の解体所にいるはずだが、アンタそこに行ってたのか?」
「そうそう。昨日カエルもどきの解体とか調査に付き合ってたんだけど、途中でオレだけ引き上げたから気になってたんだよね。んで、解体所にフィオさんがいるって聞いて、そっちに行ってたんだ」
そして、一通り話を聞いて、向こうで俺が手伝えるようなことはなさそうだから……と、彼女の報告書をあちこちに届ける仕事を請け負ったってわけだ。
それはわざわざ言うことではないだろうが、カーンは察したのか「なるほどな……」と頷きながら、フィオーラの手紙を読み始めた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




