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森の調査を終えた翌日。
アレクと共に買い物に来ている。
ただ、今いる場所はルトルの街の西側北部にある商業地区の裏通り。
倉庫らしき大きな建物が並び、人通りはほとんどない。
その倉庫の並ぶ通りに時たま建っている小さい建物がある。
「そこだな」
「ほほぅ……」
着いた場所は先日話の中に出た革細工の店。
俺としてはすぐにでも行ってみたかったんだが、西側とはいえ裏通りにある事から、1人で行くのはストップがかかり、アレクの予定が空く今日まで待つ事となった。
さてこの店、看板……と呼んでいいのかわからないが、店の壁に大きく「ロブの店」と書かれている。
それ以外は何も無し。
つまり、ロブさんのお店って事だ。
国家間をまたいで手広い商いをしている大商会は、大きな街だと大抵支部を構え、そこと提携している店に商品を卸している。
いわばフランチャイズだ。
多少割高だったりするが、その分質は保証されているだけに、初めての街だととりあえず提携している店で買うのが外れを引かないコツらしい。
そういったところは、軒先のどこか見やすい場所に店名の他に商会の看板も下げている。
この店にはそれが無い。
確かに面白そうだ。
「入るぞ」
そう言いアレクがドアを開き中に入って行き、俺もその後を追った。
◇
「おう。どうした」
店の中に入るとすぐにカウンターがあり、そこに白髪に髭のじーさんが座っていた。
この人がロブさんかな?
カウンターは作業台も兼ねているのか、その上に道具を広げ作業をしていたが、俺達に気づき顔を上げた。
そしてこちらを見るや今の言葉。
頑固爺や偏屈爺って言葉が似合うな……。
「どんな物を置いてあるのか見せて欲しいんだ。いいかい?」
「…………待ってろ」
アレクの言葉を聞きしばらくこちらを見ていたと思ったらすぐ後ろのドアを開け奥へ引っ込んで行った。
倉庫でもあるのかな?
領都で傘を作ってもらった店とちょっと雰囲気が似ている。
あそこは店の中に商品を飾ってあったが、こっちは中に何も置いていないけれど……。
「ここって何があるの?」
「武具以外の革製品だな」
「……ん?」
武具以外ってむしろ普通な気がするけれど……どういうことだ?
「こういった物だ」
自分の腰に付けてあるポーチを指しながらそう言った。
「革製品はもっと生活に余裕のある街だと、住民の日用品としても使われるが、こんな辺境だとあまりそう言った使われ方はしないからな。自分じゃ直せないだろう?」
「あー……」
説明を聞いて何となくわかった。
確かに革の方が頑丈だろうけれど、街中で普段使いするにはそこまでの強度はいらない。
ちょっと破損したくらいなら皆、自分で直すし、それなら布製の方が都合がいい。
ちょっとした贅沢で良い物を持とうと思っても、服だったり装飾品だったりで、革製品は中々選ばないだろう。
うん……変な店だ。
「待たせたな」
しばらく待っていると、奥に行っていたじーさんが大きな箱を両手で抱えて戻って来た。
そして床に置き、箱の中身をカウンターに並べ始めた。
「ワシが作っているのはこんな物だな」
置かれた品は、リュックにバッグ。
手袋にベルトに……チョーカーかな?
他にもあれこれあるが、どれもスマートというかスタイリッシュというか……。
この街の誰が買うんだ?
「なあ、じーさん。ここ客は来るのかい?」
同じことを考えたのかアレクが中々踏み込んだことを聞いた。
「あ?滅多にこんな」
きっぱり言い切ったが……大丈夫なのか?
でも物はいい気がするし……。
「あ……!これがいいな」
目についたのは小さな袋とベルト付きの小振りなバッグ。
財布と小物を入れるウエストポーチに良さそうだ。
「ふん……安物だな……まあいい。何か模様を入れるか?」
「模様?」
「ああ。自家の紋章だったり、商会の看板だったりな。まあ他家のは駄目だがな。サービスだ」
「なるほど……」
模様……何入れよう。
「お前のイメージだと、蜂、玉、目玉、蛇……か?」
アレクの列挙した中からだと……。
「蛇……うん。蛇がいいな」
しかし俺のイメージっていったい……。
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・3枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚




