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「セラのお嬢さんじゃないか」


適当にジグハルト達の会話に混ざりながら辺りを眺めていると、奥から俺に向かってくるおっさんの姿が目に入った。


「ザックさんだったっけ?お久しぶりー。元気してた?」


「何だ?ザック、お前の知り合いか?」


「ああ。王都にいた頃にウチの若いのがダンジョンで魔物と間違えて攻撃をしてしまってな……」


近くにいた別のおっさんが訊ねると、笑いながら笑えない事を説明している。

おっさんだらけだな……。

どうしても実績あるベテランが稼ぎに集まっているわけだし、そうなるか。


ザック。


セリアーナが王都のギルドからクラン毎引っこ抜いた、クラン「ラギュオラの牙」の団長だ。

こっちで開拓村の防衛とかをやっているって聞いてはいたけれど……。


「改めて……久しぶり、だな。皆元気にやっているよ。最近までルトル南部の開拓村を中心に周っていたんだが、冬前に装備を整えておきたくてな。武具の補修も兼ねて半数を率いて休暇がてら雨季明けに街に戻って来たんだ。アレクはいないのか?」


彼等は一応セリアーナの私兵に近い扱いだから、武具の補修や補給もある程度優先的に受けられる。

こういう風にローテーションを組んで休暇や待機が出来る。


「商業ギルドに報告してからこっちに来るらしいよ?」


「そうか……アレクの顔も見ておきたかったが、宿に仲間を待たせてあるからな……。あいつやお嬢様によろしくと伝えておいてくれ」


そう言うと、周りに挨拶をしながらギルドから出て行った。

心なしか足取りが弾んでいるが、やっぱ開拓村は娯楽が少ないのかな?


しかし……そうか……元気にやっているのか。

出会いの迂闊さから、てっきり何人か逝っていると思っていた。

誤射して土下座していたイメージしかなかったけれど、認識を改めないといけないな。


「アレクが来たな」


「ん?……お?」


ジグハルトの言うように、にわかに外が騒がしくなって来た。

おまけに微かにだがアレクの名前も聞こえてくる。

ここでも二つ名持ちは人気らしい。


「……何だ?」


「いや?」


どうもジグハルトは有名ではあるけれど、あまり大衆受けは良くないようだ。

まぁ、強いけれど強すぎて何やっているのかよくわからないからな……。

ゆっくりやってもらっても、一瞬で終わっているし……イメージできる強さのアレクの方が目標にしやすいんだろうな。



ギルドに入ってきたアレクがジグハルトと奥へ行ってから数十分。

ホールに残った俺はおっさん達とそれなりに話を弾ませていた。


丸テーブルと椅子があちらこちらに置かれて、銘々勝手に持って来た酒を飲んだりしている。

地下にダンジョンが拓かれるとこういった事は出来なくなるそうだが、今は割と自由だ。


「何年か前にいなくなった子供で赤毛がいたな……」


「北の方の食堂で働いていたよな。孤児院のガキだろ?」


孤児院にまだいた頃に働いていた酒場で見た事のある顔がいくつかあり、それとなく話を聞くと俺の事は知っているようだったが、俺=孤児院の赤毛の子供とは結び付かなかったようだ。

多少身ぎれいにしていたけれど、栄養状態も良くなかったし、貧相な見た目だったからな……。


「いなくなったの?」


「ああ。そうだ……確か泥棒が出た頃だったから、2年前か?その頃いなくなったな。何日かはそいつに攫われたんじゃ無いかとか話していたが……」


「ほうほう」


そうか……脱走よりも攫われたって考えられていたのか。


「ガキの中では仕事が出来たからな。店主達も残念がっていたもんだ」


「貧相なガキだったが顔は良かったし、そのうち娼館にでも送られていただろうしな」


げらげら笑いながら話すおっさん達。

……だんだん話がアダルトになって来ているぞ?


「セラ」


その場に留まるか離れるかで迷っていると、アレクがやって来た。

ジグハルトやここの偉い人も一緒なのを見ると話は終わったんだろう。


離脱するにはいいタイミングだ。


「こっちは終わったぞ」


近寄り肩に乗る。

ギルド内の大多数を占めるおっさん達は気にしていないが、隅っこに固まっている新人達が睨んで来ているな。

敵意というよりは……嫉妬かな?


「そか。オレはおっさん達と話してたよ。人は増えたけど魔物は減らないねーって」


一応真面目な話もしている。


「ああ……、人里近くに来ているのは奥から逃げてきたのが多いからな。俺達が狩ってスペースが出来ればまた逃げ込んで来るんだろうよ」


「なるほどねー」


「じゃ、帰るか。ジグさんもいいですか?」


「ああ。俺も今日は上がりだ。支部長も仕事の話はまたにしてくれ」


偉い人は苦虫かみつぶしたような顔をしているが、何か振ろうとしていたのかな?

ドンマイドンマイ。



セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚

エレナ・【】・【緑の牙】・3枚

アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラはお嬢様からもらった名前なので、名前が違うし、今では良いものを食べてすくすく育つので、結び付かないだろうな 前世の男の記憶を持って娼館行きとか地獄から逃れてよかったね
[一言] 当時のセラは「孤児院のその他大勢」だから死神子供探偵でも気付かないだろうな。
[一言] こうなるとセラを覚えてて今と結び付けられそうなのは教会で働いてた冒険者の魔法使いの人ぐらいかな 誘拐もされたし
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