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風呂から出て、改めて今日の任務の報告をセリアーナたちに行った。
特に隠すようなことは起きていなかったし、使用人たちのことは気にしない。
むしろ逆に、時折彼女たちにも意見を求めたりした。
彼女たちが商業ギルドのお偉いさんの身内どうこうは抜きにしても、割と一般住民よりの視点で騎士団や冒険者について意見を貰えると思ったからだな。
んで……目論見通り、彼女たちは色々俺たちの質問にも答えてくれたんだが、何というか……騎士団はともかく、冒険者ギルドの就職人気は思ったよりもずっと低いらしい。
先程風呂でも軽く聞いたが、セリアーナとエレナがさらに詳しく聞き出すことで、よりはっきりと判明した。
「冒険者そのものは老弱男女問わず領都で人気は高まっています。以前ほど子供が将来冒険者を目指すことを親も嫌悪しなくなりました」
「ちゃんと活躍してるもんね」
昔はここの冒険者ってのは、ド辺境の荒くれ者的な連中が大半だったし、そもそもシンプルに危険すぎるからってことで拒否されていたらしいが、アレクやジグハルトのようなスター的冒険者が現れたことも大きい。
ついでに、彼らはそのまま騎士団の幹部に収まっているし、元冒険者も騎士団に入団している者も多いから、まぁ……印象はいいだろう。
ただ、それはあくまで冒険者たちだけだ。
冒険者ギルドの職員は……微妙だよな。
直接魔物と戦う冒険者ほどじゃないが、その冒険者と応対することになる冒険者ギルドの職員だって、結構な覚悟は必要だろう。
解体とかを引き受ける職員も普通の事務職員も、商業ギルドだったりに入ればもっと待遇は良さそうだし……まぁ、このまま何もしないままだと職員が増えることはなさそうだ。
「今いる職員は……元々ここで働いていた者たちや、冒険者の身内が多いのよね。中々無関係の者が関わりを持つのは難しいのかしら?」
「冒険者絡みの仕事は景気がいいし、報酬も悪くないはずなんですけどね……」
セリアーナの言葉にエレナが困り顔でそう言った。
「団長とか支部長も、冒険者ギルドの職員を増やすのが大変だって言ってたよ。冒険者の数は増えても職員の数が足りなかったら上手く機能しないし、冒険者ギルド付きの冒険者……って制度も上手くいかないかもしれないしね。その辺のことを旦那様に言うって執務室に皆で行ってたけど……どうなるかな?」
「……冒険者ギルドの要望で今朝の任務に冒険者を同行させたわけだし、リーゼルも聞き入れるつもりはあるでしょうけれど、領民相手に冒険者ギルドに入れとは言えないわね」
セリアーナとエレナは揃ってまた溜め息を吐く。
「商業ギルドですと、冒険者ギルドが子供たちを鍛えているように、加盟している商会に早い段階で修業に送り出したりしています。やはりそういう点も大きいのではないでしょうか……」
使用人たちを見ると、どこか気まずそうな表情をしている。
別に彼女たちが直接商業ギルドに指示を出しているわけじゃないんだし、気にするようなことでもないんだが……ちょっと難しいかな?
セリアーナたちもそれに気付いたのか、空気を変えるように「そういえば……」と別の話題に切り替えた。
◇
朝からの任務を終えて屋敷に戻って来てから、昼食を取ったりお喋りをしたりしていたが、疲れたこともあって少し休もうと一眠りしていた。
……誰かに起こされたわけでもないし、一眠りで済んだはずだ。
とりあえず体を起こすと、ベッドの上で軽いストレッチをして疲れが取れているかを確認する。
「……よし、しっかり休めたみたいだね」
俺はベッドの下に転がしている【浮き玉】に足を伸ばすと、そのまま発動して浮き上がって、軽く隣室の様子を確認する。
昼間にはまだいなかったが、仕事を終えて部屋に来たのかフィオーラの気配を感じた。
テレサは……まだいないか。
まぁ、今日は冒険者ギルドも騎士団も色々忙しいだろうからな。
まぁ、いいか……と、俺は隣室に向かうことにした。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




