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最初の一体が倒れると、二体目三体目と続いて倒れていく。
一体に集中しないで群れ全体を満遍なく攻撃していたからか、同じくらいのタイミングで毒の効果が現れたみたいだ。
もっとも、傷が浅すぎたか少ないかどちらかはわからないが、全く毒が効いていない個体もいる。
「とはいえ……ボス格の一体にも効いているし、半分は無効化出来たね。四体なら……いけるかな?」
急に周りのイノシシたちが倒れたことで、毒の効果が現れていない個体や無傷の個体も警戒して距離をとっている。
これなら仮に向こうに突破をしようとしても、向こうに辿り着く前に俺が追い付けるはずだ。
「よし……!」
俺は【影の剣】の刃を伸ばしながら、群れ目がけて突っ込んでいく。
先程までは俺はゆっくり群れの頭を抑えるように飛び回っていたが、最初以来の急加速についてこれていない。
邪魔されることなく群れの真っただ中を突っ切っていくと。
「はっ!」
奥に控えていたボス格の首を斬り飛ばした。
「ふらっしゅ!」
そして、イノシシたちが何か行動を起こす前にすかさず魔法を放つ。
少々俺から着弾地点まで距離はあったが、狙い通りイノシシたちの前で魔法が炸裂して怯ませることが出来た。
これで決まりだ!
「よいしょっ!!」
俺はその隙を逃さず突っ込んでいき、三体連続で首を刎ねて回った。
◇
「仕留めたね。後はコイツらだけど……」
俺は地面に倒れたまま動かないでいるイノシシたちをひと睨みして、今度は向こうで戦っている本隊の様子を確認する。
「ぬぬぬぬ……? とりあえず誰かがやられたって様子はないけど……ちょっと押し込まれてるかな? 魔物の数は減らせてるんだけどね……」
俺がこちら側に来る前よりも小型の数は減っているし、戦況そのものは悪くないようだが、兵たちは通路近くまで下がっている。
通路には荷物を守るために待機している兵もいるし、彼らが参加したらまた状況は変わるかもしれないが……。
「前のホールで戦ったばかりだしね。さっさと片付けて向こうに行かないとね。……起きてるのより地面に寝転がってる方が怖いんだけど、仕方がないか」
地面に近い分動ける範囲が限られるし、すれ違いざまに……とはいかないからあまり近づきたくはないんだが、向こうを放っておくわけにはいかない。
毒が解除されるまでまだ時間はあるだろうが、流石に放置するわけにもいかないしな。
俺は一度深呼吸をして覚悟を決めると、倒れたままのイノシシたちの首を刎ねていく。
「……ふぅ。まぁ、コイツらじゃ精々跳ね飛ばすくらいしか出来ないし、そこまで気を付けなくてもいいんだけどね。それじゃー行くか!」
イノシシが全て死んだことを確認すると、俺はゆっくりと魔物と戦っている本隊の方に近づいて行く。
魔物たちに不意打ちを仕掛けるんなら、群れの裏に回り込むべきなんだろうが……下手にそうするとパニックになって前に突っ込んでいくかもしれないしな。
小細工はせずに、大人しく本隊に合流だ。
◇
「副長っ!?」
「向こうは片付いたからこっちに来たよ。……押されてるみたいだね。何があったの?」
俺の接近に気付いた端っこの兵に戦況を訊ねた。
向こうから見た時にも思ったが、押されてはいるものの別に誰か負傷したり……なんてことは無いんだよな。
どうしてこうなったんだろう?
俺の質問に、彼は苦々しい様子で答えた。
「オークの一体が前に出て来て、まだ処理していない死体を掴んで振り回したのです。ソイツ自体は冒険者たちの手によって仕留めたのですが、一旦距離をとった際に押し込まれてしまいました」
基本的に兵の武器は、ダンジョン内で取り回しやすい剣で固めているから、デカい魔物に物を振り回されると下がるしかないか。
「……変なのがいたもんだね。そいつだけ?」
「今のところはですが。一度魔物どもの攻勢を凌ぎきってから、押し返そうとなっています」
なるほど……この後退はちゃんと狙いがあってのことなんだな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




