1803
さて、夜だ。
普段だと夕食を終えた頃にはもう来客は無く、その時セリアーナの部屋に集まれる者でのんびりとお喋りをしているんだが……今日に限ってはそうではなく、立て続けに書簡が届いている。
そう頻繁にあることではないんだが、忙しい時期には翌日の急な面会申請などで、セリアーナ宛に執務室から連絡が来ることは稀にある。
「セラ様、こちらが届きました」
もっとも、届け先はセリアーナではなくて俺だったりする。
「はいはい……読むからそこに置いといてもらえる?」
部屋の前で受け取ったソレをこちらに持って来た使用人に、テーブルの上の空いたスペースに置くよう伝えた。
偉そうな言い方になってしまったが、俺は今は両手が塞がっているから受け取れないし、仕方が無いだろう
「……整理は必要ですか?」
「いや、大丈夫だよ」
「はい。それでは……」
彼女はそう言ってテーブルから落ちないように気を付けながらそっと置くと、いつもの場所に戻っていった。
普段のようにソファーに寝転がっているわけじゃなくて、真面目に仕事をしているだけに、ちょっと俺への接し方に戸惑いがあるな。
せめて今が日中で、いつものように皆も仕事をしているのならそこまで違和感は無いんだろうが……。
「……私が何もせずに、お前の仕事をしている姿を見るのは不思議な気がするわね」
今の俺と使用人とのやり取りを見ていたセリアーナが、向かいの席から笑いをかみ殺しながら声をかけてきた。
「オレも皆がお茶を飲んでるのに、一人で仕事をすることがあるなんて考えもしなかったよ」
セリアーナに溜め息交じりに返すと、セリアーナの隣に座っていたエレナたちが、セリアーナ同様に笑いながら口を開いた。
「手伝ってあげたいんだけれど……ちょっと難しいよね」
「私たちがダンジョンに潜るわけじゃないし……せめてセラが一通り目を通してからじゃないと、意見しようがないし仕方ないわ」
二人の言葉がもっともなだけに、俺は「ぬぅ……」とだけ唸ると、大人しく手元の書類に目を落とした。
ちなみに、先程から何通も届いている書簡は、騎士団本部と商業ギルドと冒険者ギルドからの明後日のダンジョンの任務に関しての意見書だったり報告書だったりだ。
休憩所に駐留している兵や隊に編成されるメンバーの情報だったり、当日のダンジョンに潜る予定がわかっている冒険者の情報だったり……。
既存の備品の他に商業ギルドからの支援の品の目録なんかもある。
それを受け取って何か指示を出すようなことはないんだが、出発までに目を通しておかないと、俺以外がダンジョンで困ってしまうかもしれない。
まぁ……要は隊長としての務めだ。
二人が今言ったように、相談するにしても彼女たちは現場に行かないから、まずは俺が内容を理解しておく必要がある。
別に俺も理解力が無いなんてことは無いはずなんだが……今までこういった面倒なことはテレサに任せていたため慣れていないんだよな。
「出発までに内容を把握しておけばいいだけで、お前から何か指示を出すようなことはないんでしょう? 今日明日でゆっくり目を通しておくといいわ。そうしたら私たちも助言が出来るわ」
セリアーナは先程までは笑っていたが、思ったよりも苦戦している俺を見て気の毒にでも思ったのか、大分声色が丸くなっている。
ともあれ、皆も手伝ってくれるつもりのようだし、俺はセリアーナに返事をすると書類に専念することにした。
◇
「そろそろいい時間ね。お開きにしましょうか?」
書類に専念している間に時間が大分経っていたらしく、今までお喋りをしていたセリアーナがそろそろ解散しようかと口にした。
気付けば使用人たちも下がっているし、時計を見ればもう十時を回っている。
いつの間に……と驚いていると、背後からセリアーナが「お前もよ」と言ってきた。
集中したかいあって残りはもう僅かなんだが……仕方が無い。
俺は書類を纏めながら、セリアーナに「はいはい」と返事をした。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




