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黙々と三人が書類仕事を行っていたが、終わりが見えてきたからなのか、徐々に会話が増えてきた。
部屋には使用人がいるからいつも通りの当たり障りのない会話ではあるが、ダンジョン内の様子などにも触れている。
もっとも、その内容はあまり使用人たちの興味を引かないようで、静かに所定の位置で待機していた。
彼女たちも多少はダンジョンの情報を持っているだろうし、あんまり自分たちが介入出来ない場所だってことはわかっているんだろう。
ダンジョンの所々に設置している休憩エリアは、回復用のポーションなんかも用意している。
商人が食い込む余地があるような気もするんだが……休憩所は騎士団が管理しているし、あそこまで物を運ぶのも簡単じゃないからな。
そのコストを考えたら、簡単には踏み出せないのかもな。
そんなことを考えながら、ぼんやりとソファーに寝そべりながら部屋の皆を眺めていると、ふとこちらに顔を向けてきたセリアーナと目が合った。
「セラ」
「……うん?」
どうかしたのかなと体を起こすと、紙片を摘まみ上げてヒラヒラと振っている。
「コレを執務室に届けて頂戴」
「む? いいけど……それ今日の報告書だよね? オレが持って行っていいのかな?」
報告書にどんなことを書いているのか想像はつくが、もし向こうで説明を求められでもしたら、俺ではまともに答えられないと思う。
まぁ……セリアーナに直接持って行け……ってことを言う気も無いが、俺が持って行っていいんだろうか?
そう訊ねると、特に気のない様子で「それで構わない」と即返してきた。
何か狙いがあるのかなと思ったが……もしや執務室まで行くのが面倒なだけとかだろうか?
ともあれ……俺はセリアーナのもとに飛んで行くと、三人分の報告書を受け取った。
「それじゃー……パパっと持って行くね」
俺は三人の「お願い」という言葉を背に、報告書を持って部屋を後にした。
◇
「お疲れ様ー……? 何かあったの?」
いつものように部屋の中に向かって声をかけながら中に入っていったんだが、リーゼルの机の前に立つオーギュストを見つけた。
騎士団の主要メンバーが揃って本部を離れている今、オーギュストは本部の団長室で待機していたはずだ。
それは彼の休暇も兼ねてのことなんだが……何か大きい事件でも起きた際には、彼に確実に情報が伝わるように居場所をはっきりするためでもある。
その彼がここにいるってことは、本部を離れてまで何か伝えるようなことでも起きたんだろうか?
部屋に入ってすぐのところで首を傾げていると、リーゼルたち二人は揃って苦笑している。
「セラ副長。私がここにいるのは定時の報告に来たからで、君が考えているようなことは起きていないぞ」
「北の拠点からの連絡は彼に持って来させているんだよ。……それで、セラ君はどうかしたのかい? 今日はセリアたちとダンジョンに向かっていたはずだが……」
「あぁ……それです。オレの分は無いけど、セリア様たちの報告書を持って来ました」
一先ずリーゼルのもとに向かうと、預かって来た報告書を机の上に置いた。
「報告書か……わざわざ済まないね。騎士団と冒険者ギルドとで合同探索を行う前に潜った訳だし、建前とはいえ必要なんだ。……ダンジョンは変わりなかったかい?」
「セラ副長ならば、上からダンジョンを見渡せるだろう?」
二人の言葉に、俺は「えーと……」とダンジョンの様子を思い出す。
「浅瀬から誰もいなかったから、ちょっと魔物の位置とか動きに変化はあったけれど……上層の数フロアまでは異常はなかったです」
俺がそう伝えると、二人は満足そうに頷いた。
「リック隊長からの報告書も届いたんだが、どうやら彼はもう少し北の合同部隊と行動を一緒にするようでね。ダンジョンでの死者は出ていないし、心配するようなことはないだろうとは思っているが……君の報告を聞いて一先ず安心出来たよ」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




