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フィオーラが指した先を見てみると、確かに俺が斬りつけたゴブリンたちがバタバタと倒れていっている。
致命傷でこそ無いものの、確かに【影の剣】で斬りつけたしダメージはあるはずだ。
それでも動ける程度の深さだったし、実際立ち上がって動いていたんだが……。
「効くまでの時間はずっと速いね。毒が直接体内に入ったからなのかな……」
【妖精の瞳】やヘビの目で見ると、そこまで弱っているわけじゃないし毒の効果まで変わったってことはなさそうだ。
あくまで、効くまでの時間が速まっているってだけだが……。
「小型だけじゃなくてデカいのにも試した方が良さそうだね……。行って来る!」
三人の「気を付けるのよ」と言った声に手を振って応えながら、下に向かって突っ込んでいった。
◇
「はっ!!」
地上まで下りた俺は、一気に魔物の群れの中に突っ込んだ。
当然【影の剣】と【紫の羽】も発動している。
ただ、先程と違って手前に布陣している小型の魔物たち相手に、わざわざ急所を外したり加減する必要も無いし、適当に斬り進めながらどんどんと奥に控えているオークたちに迫っていく。
「さっきは手前で離脱したけど……ちゃんと警戒してるね。油断してくれてもいいんだけどね!!」
小型の魔物たちを突破したその奥には、こん棒や小岩を片手にしたオークが全部で九体いた。
オークにしては中途半端に多いし、二組が合わさったって感じかな?
先程俺が離脱したし、また今回もそうするかもと油断してくれたのならやりやすいんだが、この群れ全体のボスがその中にいるからなのか、この数にも拘らずしっかりと統制が取れている。
「仕方が無いね!」
オークは倒すことはそう難しいわけでもないし、決して強敵ってわけじゃないんだが、小型の魔物たちの攻撃と違ってコイツの一撃は【風の衣】を破く威力がある。
その先には【琥珀の盾】があるとはいえ、連携する九体を相手に加減しながら一発も貰わないで時間を稼ぐ……そんな真似は俺には難しい。
ってことで、まずはオークの数を半分程に減らすために、普通に仕留めにかかった。
「ふらっしゅ!」
前に立って俺を警戒するオークたちの眼前に目潰しを放った。
俺のことを警戒はしていても、コレは想定外だったようで手前に立っているオークたちはその光が直撃して、顔を押さえて悲鳴を上げている。
……微かに上の方から女性の悲鳴っぽい声が聞こえたような気もしたが、きっと気のせいだろう。
「せー……のっ!!」
細かいことは気にせずに、気合いを入れるとオークの数を減らすために斬りかかっていく。
一体、二体、三体……と順調に減らしていくが。
「おっとぉっ!?」
四体目に斬りかかろうとしたところで、四体目の陰に隠れるように後方からこん棒が飛んできた。
何の技術も使わずにただ単に力任せに放り投げただけなのか、グルグルと縦に回転しながら不安定に揺れている。
だが、それでも一メートルは優に超えるような大きさだし、重さもサイズ相応だろう。
速度は大したことなくても、コレは直撃どころか掠める程度でも危険だ。
四体目は諦めて俺はその場を急いで離れると、その直後にドンっと大きな音を立てて地面にこん棒が落下した。
「ふぅ……」
当たればただじゃ済まなかったかもしれない。
よく気付けたな……安心して一息ついていると、襟を後ろに引かれたことに気付いた。
「ん? ……って、おおおっっ!?」
何事かと振り向くと、今しがた突破してきた小型の魔物の生き残りが俺に向かって突っ込んで来ていた。
別にコイツ等を倒すことはわけないんだが……オークがそれに合わせて仕掛けてきたら、流石に危ない。
ここは仕切り直すためにも、一度離脱した方が良いんだろうが……。
「その前にっ!!」
俺は再び前に向けて【浮き玉】を発進させると、片手で顔を押さえたままではあるものの、目潰しの衝撃から立ち直って構えをとっているオーク目がけて右手を突き出した。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




