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エレナたちとのお喋りも終わり、皆が帰ったことで俺たちも寝室に移動してきた。
明日は早いし、さっさと寝てしまう方が良いんだが……セリアーナは「セラ」と一言呟くと、壁に向かって指を伸ばした。
「はいはい。【隠れ家】ね」
部屋の壁に手を当てて【隠れ家】を発動して中に入ると、セリアーナも後に続いてくる。
俺たちが【隠れ家】にやって来た理由は、セリアーナの予備の装備の点検だ。
当然、明日使う装備は先程エレナたちと一緒に点検を済ませて、どこも破損していないことはわかっている。
「予備の装備の点検もするなんて、セリア様も細かいよね」
物置用の部屋に向かって前を進む俺がそう言うと、セリアーナは「やれやれ」といった様子で口を開いた。
「……仕方が無いでしょう? いくら私でも、ダンジョン探索は我儘だという自覚はあるわ。それでも決行するのだから、最低でもこれくらいのことはしておかないと駄目でしょう?」
「ダメとは言われないだろうけれど、それくらいしっかりやってる方が旦那様とかも安心出来るよね」
「わざわざ調べるようなことはないでしょうけれど……信用の問題よね」
同行する者は可能な限りベストな編成にしているが、それだけじゃなくて、セリアーナ自身も出来得る限り万全にしておくのは大事だ。
つい今しがた言ったように、セリアーナが細部まで手を抜かない性格だってことをわかっているからこそ、リーゼルもこの微妙な時期のダンジョン探索なんて許可を出したんだろう。
リーゼルが見ていないからって、手を抜くようなことは出来ないよな。
俺はセリアーナの言葉に頷き、「それじゃあー……」と、部屋のドアを開けて明かりを点けた。
物置用の部屋には、主にアレクとジグハルトの予備の装備が何セットも置かれているが、それ以外にもエレナたち女性陣が身に着ける用の装備が、ラックに何着かかけてある。
男性用のゴツイ防具と違って、革製のシンプルな物だから一目で違うってわかるな。
こちらはアレクたちと違って専用に仕上げたものじゃなくて、女性陣で共有しているものだから少しサイズの調整が必要だ。
「んじゃ、上の防具から始めようか。そのジャケットみたいなのでいいんだよね?」
「ええ。袖や背中に付いているベルトを締めて調整するのよ」
セリアーナはそう言うと、部屋の真ん中に移動して背中を向けながら両腕を広げた。
「はいはい……袖通してね」
後ろからジャケットを着せて、セリアーナが袖を通して前を留めたのを確認すると、ベルトの金具を締めていく。
恐らく一番背が高いテレサでも着れるサイズなんだろうな。
セリアーナが着ると、そこまでブカブカというわけではないが丈が少しずつ余っている。
これが普通の服ならそこまで気にするようなことじゃないんだが、戦闘時に邪魔になると困るし気を付けないといけない。
ってことで、パチパチと金具やベルトを締めていったんだが。
「もう少し緩くていいわ」
「うん? まだちょっと余裕があるけど、いいの?」
「ええ。明日は下にまだ着るでしょう? その分も考えないといけないわ」
「あぁ……確かに」
今のセリアーナは寝巻姿で薄い布一枚だ。
明日は下にもっと色々着こむだろうし、ちょっとずつ中の厚さが変わってくるだろう。
「服着ておかなくても大丈夫?」
「ええ。サイズは私がわかっているから問題ないわ。……右袖はそれくらいで十分よ」
喋りながらも右袖のベルトを引っ張っていると、セリアーナがストップをかけた。
「なるほど……これくらいでいいんだね。それなら反対側も……」
俺は右袖と同じくらいになるように左袖のベルトも締めていく。
今の右袖で感覚を掴んだのか、左袖、腰、背中……と、手間取ることなくサイズを合わせることが出来た。
その流れで、剣帯やブーツの調整もサクサクと済ませていく。
まぁ……コレは予備だし、使う機会が無いならそれが一番なんだが、中々上手く出来た気がするな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




