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リーゼルは俺が持って来た手紙を軽くではあるが、あっという間に読み終えると、大きく溜め息を吐いた。
ついでに表情は実に困っている。
西部のどこの国かまでは俺にはわからないが……恐らく戦争が切っ掛けで西部での立場が微妙になったような家の者だろう。
そこがこちら側に逃げて来たい……なんて話を持って来られても困るよな。
だが。
「まあ……これは僕に話を持って来させるために用意したんだろう。直接僕やセリアに話を持って来るのは難しくても、君宛なら大分チェックは緩くなるだろうしね」
リーゼルやセリアーナは仮にも領主夫妻だし、検閲とまではいかなくても、送ってから届くまでの間のどこかでチェックはされるだろうし、そのチェックする者もちゃんとした文官だろう。
俺に送ったみたいに社交辞令に紛れさせたり……なんてことは無理だろう。
「なるほどなー……」と、リーゼルの言葉に頷いている俺を他所に、彼は部屋の文官を呼び寄せる。
「セラ君、彼らにも見せて構わないかい?」
俺が「いいよ」と頷くと、リーゼルは集まってきた文官たちに手紙を渡していく。
そして、どういったことが書かれているかの説明を始めた。
◇
「どうぞ」
「ありがと」
リーゼルが文官たちと手紙の内容について協議している間、俺は応接用のソファーに通された。
そして、すぐに女性の文官がお茶を持って来る。
俺はその彼女に「ねぇ」と声をかけた。
戻って向こうに参加したそうだったが……ちょっと待ってもらおう。
「なんでしょう?」
「今度ウチに来る他所の女性貴族を相手にする人って、今この部屋にいたりする?」
国内国外問わず、女性貴族をメインで相手するのはセリアーナやエレナだろう。
俺はあくまでおまけだな。
ただ、彼女たちだけだと応対の時間が滞在中に間に合わなかったりもするし、そもそもセリアーナたちに会えるほどの身分ではない身分だったりもいるから、その補佐として女性文官たちにも働いてもらうことになる。
執務室で働いているくらいだし、彼女もその一人だと思うんだが……。
「ここにいる者は全員そうです。それと、他に今日は非番になっている者も控えています。セリアーナ様にお渡ししたファイルと同じ物を我々も共有しておりますので、他国の貴族の情報はお任せください」
「おぉ……それは頼もしいね。それじゃー、行ってもらって大丈夫だよ」
「はっ。失礼します」
ファイルの内容も頭に入っているのは頼もしいな。
俺やセリアーナじゃ、あのファイルをいちいち見比べないとわからなかったが、この分なら、パパっと終わりそうだな。
俺は用意されたお茶を飲みながら、リーゼルたちを眺めていた。
◇
さて、リーゼルたちが話し始めて十分ほど経って、そろそろ話はどうなってるかな……と向こうの様子を窺おうか考え始めたところ、丁度完了したらしい。
文官たちが自分の席に戻っていき、リーゼルも席を立ったかと思うとこちらにやって来た。
「セラ君、待たせて済まなかったね」
「いや、全然大丈夫ですよ」
俺は「長いな……」と思っていたことを見せたりはせずに、首を横に振った。
もっとも、リーゼルには見透かされていたようで、彼は申し訳なさそうな表情をしている。
「あの手紙なんだが……こちらで預かって構わないかな? もちろん、無理にとは言わないし、そちらから要請があればいつでも返却はするよ」
「あぁ、全然構いませんけど……返事とかはどうしましょ? 一応セリア様からは返事の書き方を相談するように……って言われてたんですよね」
結局リーゼルに任せることになりそうだし、彼に預けたままにしていいとは思うが……念のため確認をしておきたい。
「返事だが……ウチに来るにせよ来ないにせよ、今からだと間に合わないだろうからね。返事を出すのは今は保留で大丈夫だよ」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】+1【赤の剣】【猿の腕】・0枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




