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セリアーナに頼まれて部屋から彼女の着替えを取りに行っていたんだが、戻って来た時には既に彼女は中に入っていた。
引っ張り出すのに少々手間取ってしまい、思ったよりも時間がかかってしまったが……
「入るよー」
さらにもう一つのドアの向こうに向かって声をかけると、中からセリアーナのくぐもった声で「入りなさい」と返事があった。
「シャワーの音はしないし、もう湯船に入ってるのかな? まぁ、失礼して……」
手にした着替えを中にある机に置くと、ドアを開けて中に入っていく。
「着替えはそこに置いてるよ。もう手伝いは……必要なさそうだね?」
予想通りセリアーナはもう髪も体も洗い終えて、湯船に浸かっていた。
「ご苦労様。手伝いはいらないから少し話に付き合いなさい」
セリアーナはそう言うと、タオルが置いてある椅子を指差す。
「はいはい……体でどこか痛いとことかはある? 兵たちと斬り合ってた割に攻撃が当たったり……ってことはなかったと思うけれど……」
俺は「よいしょ」と椅子に座ると、先程の訓練の影響は出ていないかを訊ねた。
俺は兵たちの中に入り込んだままだったから、セリアーナの動きを完全には把握出来ていなかったが、囲まれたりしないように数回打ち合うとさっさと離脱していたのは見えていた。
二戦とも上手く動けていたから怪我をするようなことはないと思うが、昨日よりもずっと激しく動いていたし、どこか痛めてたりはしないだろうか?
足元に置いた【浮き玉】を足で転がしながらセリアーナの返事を待っていると、彼女は無言で腕を回したり体の様子を確かめている。
「……支障は無さそうだし大丈夫みたいだね」
色々動かしているが、特に顔をしかめるようなこともないし、どこも痛めたりはしていないだろう。
そう言うと、今度はすぐに返事が返って来た。
「そうね。お前の【祈り】抜きで体を動かすのは久しぶりだけれど……昨日今日とどこも影響はないわね」
体を動かして随分スッキリしているのか上機嫌だ。
浴槽から腕を出すと、今度は椅子の側の棚を指した。
そこには使用人たちが用意している飲み物が入った水差しが置いてある。
先に風呂に入った俺の時とはまた別の容器になっているし、わざわざ交換したようだ。
ともあれ、中身をグラスに入れると、それをセリアーナに渡した。
「ありがとう」
セリアーナはそう言うと、一息で飲み干した。
水分もとって一息つけたのか、セリアーナは何も言わずに浴槽で体を伸ばしている。
……わざわざ俺を呼んだんだし、何か話すことでもあるのかと思ったんだが、そろそろ俺が浴室に入ってから十分近く経つがそんな様子もない。
「はて……?」と首を傾げていると、セリアーナが再び浴槽から手を伸ばした。
「セラ、エレナを呼んできて頂戴」
「む? ……あぁ、了解」
一瞬何事かと思ったが、エレナが部屋に戻って来たってことか。
俺は椅子から降りると、エレナを呼びに浴室から出ていった。
◇
エレナは地下訓練所で兵たちとの反省会を終えた後に、しっかりとシャワーも浴びてきて、さらには着替えも済ませていてサッパリとした姿だった。
未だ髪が乾いておらず、頭にタオルを巻いたままの俺とは大違いだ。
ちなみに、フィオーラは一旦魔導士たちと一緒に研究所に向かったらしく、別れて来たそうだ。
向こうは向こうで色々あるんだろう。
さて、それよりも……浴室にやって来たエレナは、俺の髪を乾かしながらセリアーナの話を聞いていたんだが。
「次はダンジョンに行きたいわ。折角勘を取り戻せているわけだし、間を開けずに……」
「ダンジョンですか?」
エレナはセリアーナの話を遮って、思わずといった様子で聞き返した。
「ええ。初日は体を動かして、二日目は軽い戦闘訓練を。それなら三日目は実戦でしょう?」
今度は話を遮ったりはしていないが、セリアーナのダンジョン行きに、エレナはあまり賛成ではない様子で、背中越しにだが彼女が困っている気配が伝わって来ていた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・10枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




