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いまひとつ、直接俺の強化に繋がらなかったガチャ。
魔布はセリアーナに譲った。
流石にアレは俺が持っていても使い道が無さ過ぎた。
ハンカチくらいしか思いつかなかったし、俺よりは上手く使うだろう。
そして、【強化】
【隠れ家】だと部屋が増えただけだったが、いや……それでも十分凄い事だとは思うが、あの後【隠れ家】の事を隠してフィオーラも交えてあれこれ話をしていたのだが、面白いことを聞けた。
魔導士協会内部の噂話だ。
【緋蜂の針】を神国では【断罪の長靴】と、違う呼び方をする事もあるが同じ物と思われる恩恵品や加護でも、明らかに性能が違う場合がある。
特に国宝や神宝と呼ばれるような格調高く、伝来定かな物であればあるほどその性能が強力になる傾向にあるとか。
単純に使い手の力量差と言ってしまえばそれまでだが、何かしらの秘法でもあるのでは、と噂されていたらしい。
加護はともかく、恩恵品は代々受け継がれていくし、所有者が1人に集中されていれば【強化】を引く確率が上がるかもしれない。
いや面白い。
ただ、この事はある種のタブーになっているらしい。
強いから特別になったよりも、特別だから強いって方が有難味があるし、そもそも調査のしようがない。
仮に実証されてしまえば神秘性が薄れるし、「賢者の塔」でも踏み込めないそうだ。
遠距離攻撃手段こそ無いが、正直俺の装備は完成していると思っている。
この子供ボディではもちろん、大人になっても、機動力を高める【浮き玉】対生物特効武器ともいえる【影の剣】打撃力をもつ【緋蜂の針】索敵の【妖精の瞳】。
これらを外す未来は見えてこない。
これからあまり増えていっても使いこなせる自信も無いし……と、そう思っていたのだが、この装備がパワーアップする道があるのなら今後の聖貨集めにも気合が入るってもんだ。
まぁ……【強化】を引けるかは確率低そうだけどな!
◇
早いものでもう秋の1月。
今月はセリアーナとエレナの誕生月だ。
ちなみにアレクは先月。
ジグハルトと一緒に開拓地に行ったきりまだ帰って来ていなかったりする。
そして、王都に行っていたリーゼルは今日帰還予定だ。
夏の2月半ばまでいたようだが、正規ルートを使った割には随分早いと思う。
間に合うように急いだのかもしれないな!
うちのお嬢様は未来の旦那様を待つ時間は退屈らしい。
予定では到着は昼過ぎ頃になるはずだが、念の為今日は来客は断っている。
ワーカーホリックってわけじゃ無いだろうが、やる事が無い状況っていうのが嫌なんだろうな。
移動中【隠れ家】にいる時も、料理やら洗濯やらと何か色々やっていた。
読書は好きだが、この応接室には堅い本しか置いていない。
寝室や【隠れ家】の本棚はバラエティーに富んでいるが、客にはプライベートはあまり見せたがらないラインナップになっている。
歴代の役人一覧や、収穫物一覧表とか読んでも面白くないよな……。
昼食も済み、先程までは俺の髪の毛を編み込んだりパイナップルにしたりと弄っていたがそれも飽きた様だ。
それでもいよいよやる事が無くなってきたようで、【浮き玉】を使い部屋の中をグルグル移動している。
「ぶつからないようにねー……」
「問題無いわ!」
部屋の中だけとは言え、日ごろ屋敷から出ないセリアーナにとってはいい気分転換になるのかもしれない。
楽し気にしている。
「ほら、動くと危ないよ」
「はーい……」
「痛くは無いかな?」
「んー……だいじょぶ」
一方俺はエレナの膝に頭を置いている。
膝枕で耳掃除中だ。
いよいよやる事の無くなったセリアーナが、何故か俺の耳掃除をしようとし出したので【浮き玉】を渡したのだが、何故かエレナが引き継いだ。
耳かき本体は木製ではなく、金属製の何か彫刻の施された凝った代物だ。
前世での耳掃除事情は詳しく知らないが、この世界は魔法がある。
貴族の従者は先端に明かりを灯して行う。
こういった何気ない事にも魔法が必要となるから、平民がその地位に就くのは難しいんだろう。
俺も出来るようになった方が良いんだろうか……?
セラ・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】・【浮き玉】【影の剣】【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・35枚
エレナ・【】・【緑の牙】・3枚
アレク・【】・【赤の盾】【猛き角笛】・8枚




