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フィオーラは俺の足をペチペチ叩きながら、怪我の具合の説明を始めた。
「まだまだ患部を押さえたら痛みがあるようだし、患部以外を押さえても刺激が届くのか痛がっていたわね」
落ち着いた声で淡々と話しているが……痛がっている俺をじっくり見ていたってことだよな?
ジーっとフィオーラの顔を見るが、視線に気付いているだろうに無視している。
一言二言突っ込もうかな……と思ったが、それより先にセリアーナが口を開いた。
ちなみに彼女も俺の足を突いている。
「完治にはまだ時間がかかるってことかしら?」
「ええ。でも、痛み方はそこまでひどくなかったし、もう大分良くなっているわね。直接の患部以外はもう治っているといっていいはずよ。後少しね」
「そう……良かったじゃない」
セリアーナは体の向きを変えながら顔を見上げると、相変わらず足を突きながらそう言った。
「そうだね……ポーションとか魔法とか使わなくてもちゃんと治るのがわかったしね……」
セリアーナの指を掴みながらそう言うと、フィオーラが笑っている。
「まあ……いざとなればどうとでも治すことは出来るけれど、貴女の場合だと普段から加護に曝されているし、回復力に不安があったのは確かね。医師の言葉通り、上手い具合に回復出来ているんじゃないかしら?」
「そのようね。外の任務も多かったからあまり安静に過ごせていなかったけれど……お前の場合は移動の仕方も特殊だし関係なかったわね」
俺は二人の言葉に「そうだね」と返した。
「【浮き玉】で飛び回ってるだけだしね。まぁ、本気を出せない状態で魔物がうろつく場所を移動するのはちょっと落ち着かなかったけどさ……」
「一応、お前を出さずに騎士団のみで対処する案もあったのよ」
「そういえばそんなこと言ってた気がするね」
結局今は俺に任せるのが一番だってことでそうなったんだよな。
「ええ。負傷中だということを抜きにしても、お前と同じ働きを出来る者がいないでしょう? 代わりがいない者に仕事を任せるのはね……」
「今年は丁度雨季に入る直前で色々あったしね。問題を全部片づけて、来年からそうしたらいいんじゃない?」
俺はそう軽く答えたが、ふと疑問が一つ頭に浮かんだ。
「アレクは……まぁ、団長とかでも代わりを果たせるけど、ジグさんってどんな扱いなの? あの人こそ代わりなんていないんじゃない?」
ずば抜けた個人に頼らないのが執務室の方針だってことはわかるんだが、ジグハルトは割といろんなポジションを任されている気がする。
今更なことではあるが、そこら辺はどうなってんだろうか……と訊ねると、二人は肩を竦めた。
「ジグハルトは確かに能力も知識もあるけれど、彼の役割は人数を増やせば補うことは可能でしょう?」
「一人でジグの代わりを果たすのは難しいけれど、いくつかの隊に役割を振ってしまえば、ある程度の代わりは務まるのよ。もっとも、ジグ一人を動かせばどうにかなる問題に、人手が足りない状況で任せない理由はないから出番が増えているのだけれどね……」
「あー……なるほどねぇ……」
実際に今のウチが採用するかどうかは別として、他の方法で補うことが出来るかどうかってのが重要なんだな。
納得して俺が頷いていると、セリアーナがフィオーラに顔を向けた。
「代わりがいないって意味では、セラもだけれど貴女もそうよ。ちゃんと体調に気を付けているのかしら? よく頼みごとをする私が言うことではないけれど、忙しいでしょう?」
「忙しいことは確かだけれど、それこそセラの加護を優先的に受けることが出来るし、屋敷の人間も好きに使わせてもらえているから、生活面で負担に感じるようなことはないわね。少なくとも王都にいる頃に比べたら遥かに楽な暮らしが出来ているわよ。私だけじゃなくて、テレサも似たようなことを言っていたし、貴女の周りに体調面で不安な者はいないし、心配しなくて大丈夫よ」
フィオーラの言葉に「それは結構」と、いつもの口調でセリアーナは答えていたが……ちょっとホッとしたような様子だった。
皆忙しいし、何気に不安だったのかもしれないな……。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・10枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




