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明日も地下訓練所で訓練をすることになったし、今日は夕食を済ませると、早めに解散することになった。
ちなみに今日もフィオーラは屋敷に宿泊だ。
一度着替えを済ませに自宅に行ったが、本当に着替えだけ済ませてすぐに戻ってきた。
寝室でダラダラしていた俺たちは彼女を迎え入れはしたものの、その速さに家は大丈夫なのかと顔を見合わせた。
「……速いね。家の中のことはよかったの?」
「問題無いわ。今あそこを利用するのは私だけだし、むしろ掃除だけ任せて、私はここに滞在する方が散らからなくていいじゃない」
家のことはいいのかと訊ねると、フィオーラはこともなげにそう答えた。
「そう……まあ……部屋は余っているし、貴女がいいのなら好きに過ごして貰って構わないけれど……」
俺もだが、セリアーナもフィオーラの自宅へのこだわりの無さに困惑している。
あまり俺たちの間でフィオーラのプライベートが話題に出ることがないだけに、セリアーナは初めて知って驚いているんだろう。
とは言え、セリアーナもあまり部屋を飾ったりはしないが、彼女の場合は派手さよりも機能面を重視しているからであって、家そのものに興味が無いってわけじゃない。
もっとも、フィオーラは家に興味が無い分、研究所や自分が手掛けたりデザインした建物はこだわっている。
こだわるポイントがちょっと違うだけなんだろう。
納得して頷く俺と困惑しているセリアーナを他所に、フィオーラはベッド脇の椅子に座ると口を開いた。
「そうさせてもらうわ。それで……貴女たちは何をしているの? ……昼間の続きかしら?」
と、不思議そうな表情でベッドの上に座っている俺たちを見た。
俺とセリアーナが揃って伸ばした足のつま先に腕を伸ばしているのは、理由は大したことじゃないし、聞けばすぐに納得するだろうが……確かに首を傾げる程度には不思議な光景だろう。
床ならともかく、ベッドの上だもんな……。
だが。
「そうそう。セリア様がちょっと気にしてたみたいだからね」
とりあえず、細かい説明を省いて簡単に答えた。
昼間も隣室でストレッチをしたんだが、その時セリアーナは久しぶり過ぎてすっかり体が硬くなっていた。
ある程度時間をかけて多少は柔らかくなってはいたんだが、それでもまだまだ以前ほどの柔軟さには遠く及ばずで、精々上体を倒してつま先に届くかどうかって具合だった。
それが不本意だったんだろうな。
明日も訓練を行うし、当然準備運動だってする。
それまでに、ある程度の柔軟さを取り戻しておきたいんだろう。
使用人たちを下がらせて寝室に移動するなり、柔軟を手伝わされていた。
始めてすぐは大人しく腕を引っ張ったり背中を押していたりしたんだが、もう寝る前だしあまり汗をかくようなハードなことは避けて、緩い運動に切り替えた結果……一緒に柔軟運動を行うということになった。
理由自体はそれなりに納得出来るだろうが、経緯がわからなければ、この短い時間で何があったんだろう……と思うだろう。
「フィオさんも一緒にやる?」
セリアーナは無言のままストレッチを行っているし、とりあえず俺からフィオーラに声をかけてみたが、彼女は首を横に振って自分が座っている場所を指す。
「三人もベッドの上に座ったら狭いでしょう? 私はここでいいわ」
「そっかぁ……。まぁ、そんなにきついことをしているわけじゃないし、適当にお喋りでもしとこう」
「……ふっ、それもそうね」
「そうそう」
黙々とストレッチを行っているセリアーナを見て、フィオーラは一瞬笑う声を漏らしたが……今のは気付かなかったことにしておこう。
フィオーラは俺の様子にもう一度小さく笑うと、話を始めた。
「セラは明日の訓練には何か持って行くのかしら? 今日はいつもよりも軽装だったけれど、右足に負担をかけないように気を付けたら、他の恩恵品だって使えるでしょう?」
「どうかな……右足がどうとかってより、下で使うのは危ないのが多いからねぇ……」
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・10枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




