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「あわわわわ……!?」
魔法の直撃を躱しながら、あちらこちらで吹き荒れている風に煽られていく。
「おおおおおっ!?」
訓練所の天井側で風に翻弄されていると、地上からその隙を突こうと魔法が飛んでくるが、叫びながらもなんとか躱し切る。
「ふぅ……危なかった。当てる気はなかったみたいだし狙いは甘かったけど……三人から撃たれたら流石にギリギリだよ……」
三人とも地上にいる他の二人がメインの相手であって、俺のことはとりあえず落とせたらいいな……程度の気持ちで攻撃をしていたんだろう。
そんなんで落とされるのは情けなさ過ぎるし、上手いこと躱せてよかった。
「ふむ……それにしても」
息が整うのを待ちながら下の様子を見ていたが……今は三人で戦っているが、エレナとフィオーラはセリアーナへの攻撃は加減しているのがよくわかる。
セリアーナの訓練だし、真剣勝負ってよりは乱戦を想定した訓練になっているな。
「ポンポン飛んでくる魔法を器用に避けているし、セリア様はなんだかんだでやれてるね。んで、エレナは……似たような動きをしてるけど、セリア様に戦い方のお手本でも見せてるのかな?」
上から見ているとよくわかるが、エレナはセリアーナに魔法を撃ったり、軽く剣で突っかかったりしているものの、割合で言えばフィオーラと魔法を撃ちあったり斬りかかったりしている方が多い。
フィオーラの方もそうで、俺ほどではないがセリアーナへの攻撃も思った以上に緩かったしな。
セリアーナが二人の戦い方を見る余裕があるかどうかはわからないが……見ていたらいい勉強になるだろう。
「……よしっ! 何時までもここに浮いてても仕方がないし、それなら!」
俺は下の戦況を眺めながら時折飛んでくる魔法を躱し、再度下の戦闘に加わる機会を探っていた。
二人の魔法の弾幕を突破して、セリアーナがフィオーラに接近するが、そこにエレナが介入することでセリアーナの足が止まり、さらに彼女を遠ざけるようにフィオーラが魔法を重ねて来る。
防げないと判断したセリアーナが距離をとるために背後にジャンプするが……。
「ここだっ!」
俺はそのタイミングで、セリアーナの背後に降り立った。
「くっ……セラっ!?」
俺を追い払おうと左手に魔力を集めているが、それより先に尻尾でセリアーナの足を掴むと、そのまますくい上げるように引っ張った。
セリアーナは小さな悲鳴を漏らして尻もちをついて、剣を取り落としてしまう。
別にルールが決まっているわけじゃないが、武器を落としたら戦闘不能だし、一旦彼女はここで離脱だな。
こちらへの魔法が止んでいるし、二人もその認識なんだろう。
「セリア様、上から見てたら面白かったよ」
俺はセリアーナを起こすために手を伸ばすと、ついでに【小玉】を発動した。
セリアーナは「上?」と首を傾げながらも、【小玉】に座ると俺と一緒に天井近くまで浮き上がる。
「んじゃ、見ててね」
そう言うと、今度は俺が下に降りて二人に向かって突っ込むことにした。
◇
突っ込んできた俺に気付いた二人は、まずは軽く魔法を連発してきた。
セリアーナも加わって三方向から撃たれたら、回避しながら接近するのは難しかったが、二人だけならどうにでもなる。
俺は【浮き玉】の軌道を上に曲げて飛んでくる魔法を飛び越えると、まずはフィオーラに狙いを定めた。
「よいしょっ!!」
前進しながら尻尾を伸ばすと、フィオーラは魔法を連発しながら後ろに下がって行く。
魔法の腕ならともかく剣の腕も身体能力もセリアーナの方が上だし、彼女の場合だと同じ動きは出来ないから回避一択なんだろう。
だが、後退していくフィオーラに向かって、エレナも突っ込んでいった。
フィオーラはそちらにも牽制するように魔法を放つが、エレナは足を止めずに、【緑の牙】を発動して魔法を弾きながら接近を続けた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・10枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




