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さて……セリアーナの昼の予定一つが決まったところで、少々時間は早いが軽い昼食をとることになった。
面会理由が予想通りの内容だとしたら、そこまで時間がかかることはないと思うんだが、先に済ませておくようだ。
もしかしたら来客が後に続くかもしれない……というよりも、続くと考えているからそうしたんだろうな。
セリアーナとエレナは、食事を終えると揃って服装と髪形……それに化粧もバッチリと仕上げて、客の相手をする準備は万全だ。
「そろそろね」
セリアーナがそう呟いたタイミングで部屋のドアがノックされると、主に一階を任されている使用人が、「談話室の準備が出来た」と言いに来た。
「行きましょうか」
「ええ」
セリアーナとエレナが立ち上がると、使用人たちに不在の間の指示を出している。
そして、彼女たちへの指示が終わると、次は俺に何か言おうとしたが……その前に。
「オレも行くよ」
そう言って、【浮き玉】を浮かべるとセリアーナたちの前に向かった。
「お前も来るの? 大して面白い話をする予定はないのだけれど……」
セリアーナはそう言って目を丸くしているが、エレナは「助かるよ」と頷いている。
「そう……まあ、来たいというのなら構わないけれど……」
セリアーナは「仕方ない」といった様子でそう言うと、ドアに向かって歩いて行き、俺とエレナもその後をついて行った。
◇
三人で一階の談話室に到着して数分ほど経った頃、使用人が客が到着したと報告をしに来た。
そして、ほどなくして部屋の中に来客である商会主の奥さんがやって来たんだが、名前だとピンと来なかったが顔を見たら誰かがわかった。
時折セリアーナ向けに装飾品を持って、商談に来るおばさんで、俺も同席した際に何度か挨拶したことがある。
彼女はウチに来る商人の中では比較的控えめで、失礼な話かもしれないが、あんまり印象に残っていない。
うるさくも鬱陶しくもないし、決して悪いことではないか。
セリアーナが何度も利用したことがあるのも、その辺が理由かもしれないな。
さて、そのおばさんだが、セリアーナへの用件は予想通り北街の一件だ。
まぁ……今日に限ってはそれしかないよな。
ともあれ、そのおばさんは今朝玄関で揉めていたおっさんたちとは違って、落ち着いた様子で話をしていた。
話がひと区切りしたところで、俺は「ねぇ」と訊ねることにした。
「どうしましたか? セラ様」
「今朝ウチに色んな所の人たちがその件で話を聞きに来たんだけどさ、皆すごい剣幕だったんだよね。随分落ち着いてるけど何かあったの?」
「そうですね……今朝面会を申請してから少々時間が空きましたので、ある程度私共のように商業ギルドに所属していない商人たちにも情報が届きましたから。お陰で、親しい者たちと前もって話をする時間がありました」
そう言って静かにニコニコと笑っている。
親しい者っていうと……単にお友達ってわけじゃなくて、商業ギルドに所属していない商会同士ってことなのかな?
あまり意識してこなかったが、結構その辺にも確執とかあったりするんだろうか……。
そんなことを考えながら、どう返事をしたらいいのか迷っていると、セリアーナがおばさんに話しかけた。
「こちらの手間を省いてくれて助かるわ。今回の件は元からこの街にいる者にはほぼほぼ関係のないことだし、気にせずにいてくれたらそれでいいのよ。詳しいことはまた騎士団から報告があると思うけれど……貴女に報せたらいいのよね?」
セリアーナの言葉に、おばさんは笑顔を引っ込めて真顔になると「はい」と頷いた。
「商業ギルドに加盟していない者に限りますが、そちらはお任せください」
満足がいく答えだったのか、セリアーナは「結構」と上機嫌に頷いている。
今朝の玄関先での件といい……やっぱ商業ギルドとそこに加盟していない商会っていまいち仲がよくないみたいだな……。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・10枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




