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「お早うございます。セラ副長」
今まで言い争っていた連中は俺が頭上から現れたことに驚いたのか、ギョッとしたような表情で黙りこくってしまった。
そんな連中を横目に、兵が俺に挨拶をする。
「うん、お早う。大体予測はつくけど、何を騒いでるの? 向こうのセリア様の部屋にまで聞こえて来たよ。ついでに言うなら、オレがココに来たのはセリア様が静かにさせるようにって言っていたからだからね?」
その言葉に、俺を見てただでさえギョッとしていた連中は、さらに顔を青ざめさせた。
「凄いね……そんなにセリア様が怖いの?」
あまりにも一瞬の出来事に、ついついそんなことを聞いてしまったが……ちょっと答えようがない訊ね方をしてしまったな。
案の定彼らは俺から視線を逸らしながら「いえ」とか「その」とかモゴモゴとしている。
「ごめんごめん、答えなくていいよ。それよりも……説明してもらえるかな?」
とりあえず彼らは置いておいて、玄関前の兵に彼らがやって来た目的を訊ねることにした。
流石に何も知らずに目の前で言い争いを始められたら、いくら相手が相手でもちゃんと制止するだろうし、そうしないってことは理由はわかっているはずだ。
その考えは正しかったようで、兵の一人が一歩こちらに進み出て話し始めた。
「はっ。……といっても、来訪のタイミングが重なっただけですね。つい先ほど来訪申請の返事を送ったのですが、門前で待機していたのでしょう」
そして、彼らの所属を教えてくれた。
商業ギルドに、北街の顔役の一人。
そして、商業ギルドに所属していない商会の主たちだ。
東街や南街の人間がいないあたり、今朝からの兵の動きは街全体に影響があるってわけじゃなさそうだな。
「彼らのお目当ては旦那様?」
「いえ、違います」
その言葉に「ふぬ……」と頷いた。
リーゼルに何かを訴えに来たってよりは、北街に突如兵が送られたことへの説明を聞きに来たってことだろう。
まぁ……妥当なところだな。
「んで? 誰が先に入るかで揉めてるんだね?」
「はい。たかが順番ではありますが、話の持って行き方によっては相手の印象を変えることも出来ますからね」
「ふむふむ」
状況を理解出来ていないから、事情を聴きつつ万が一自分たちの懐を探られそうになったら、他所に押し付けよう……とかそんなことを考えているんだろうな。
だから誰が先に入るかで揉めているってことか。
頷いている俺に、兵の一人が「どうしましょう」と視線を向けてきた。
「全員面会の申請は通ってるんだよね?」
「ええ。それは問題なく」
「なら、オレが決めるよ。商業ギルド、商会で、最後はアンタね」
俺がそう言いながら順番に指していくと、皆揃って「わかりました」と頭を下げたが、最後に指された北街の顔役は顔を歪めながらだったのが目についた。
ともあれ、面会の順番も決まったところで、四人は屋敷の中に案内されていった。
「あの順番でよかったんでしょうか? 最後になったものは大分不満がありそうでしたが……」
扉が閉じると、兵の一人が今の順番について訊ねてきた。
「ん?」と見ると、他の兵たちも同じ考えのようで、扉の向こうを気にしていた。
他所の人間を優遇するってわけじゃないが、普段だと順番が逆でもおかしくはなかったし、何より今回の騒動の中心である北街の顔役だからな。
ただ。
「いいよいいよ。旦那様とか執務室の皆もアレでいいって言うだろうしね。もし他にも同じようなことがあったら、今の順番で大丈夫だよ」
事情を把握出来ていたら、北街の人間は後回しでも大丈夫だろうってなるよな。
この場で下手に俺が半端に伝えるよりも、後でちゃんと説明を受けた方がいいだろう。
とは言え……ちょっとリーゼルにその説明を早めるように言っておこうかな。
部屋に戻る前に執務室に向かうか。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・10枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




