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「屋敷の警備についてはオレが口出すことじゃないから気にしてなかったけど……結構あるもんだなぁ……」
本館の廊下を移動しながらそんなことを呟いた。
俺がそもそもこんな時間に屋敷内を移動することが無いってこともあるが、今まで考えたことがないようなことまでしっかり警戒している。
加えて……。
「なまじオレみたいなのがいるから、色々警戒する範囲も増えちゃってるんだね……」
魔物への警戒だけなら普通の警備でも対応出来るが、俺みたいなのが敵対勢力にいたら、普通にやっていたら間に合わない。
如何せんウチは未だに敵が多いから、色々考えないといけないんだろう。
まぁ……地下通路網だけでも街の各所に抜けられるし、十分過ぎる気もするが……領主の屋敷が襲われていいわけないもんな。
「大変だよなぁ……っと、お疲れー」
北館での反省を活かして、見回りの兵を見つけたら先にこちらから声をかけるようにしているが……お陰で武器を構えられるような事態は避けられている。
「お疲れ様です。セラ副長。一階に何か御用でしたか?」
「そちらから……来たということは、北館からですか?」
北館同様にこちらも二人一組で動いているが、揃って挨拶をしてきた。
「ちょっと外に出ていたんだ。街を見て来たり騎士団本部で話したりして来たよ。こっちは何も変わりは無かったかな?」
「え……ええ。こちらはいつも通りで異常無しですが……街で何かありましたか?」
どうやら俺の言い方がまずかったようで、街で事件が起きたと思ってしまったらしい。
声を潜めながらも、緊張した様子で訊ねてきた。
「いや、ただ目が覚めちゃったから散歩代わりにうろついて来ただけだよ。んで、ちょっと気になったことがあったから本部に寄ったんだ。……団長がいたのはちょっと驚いたけどね」
「ああ……団長は、明日から隊長が街を離れるので代わりに本部に入りますからね。その準備だったんでしょう」
街に何も変わりは無いと伝えると、ホッとしたのか雰囲気が少し柔らかくなっている。
普段から俺と長話をしない連中だけに、話し方に気を付けないと変な誤解を生みかねないな。
先程同様に、ここもさっさと離れた方がよさそうだな。
「そんなこと言ってたね。まぁ……気になったことも本部の方で片付くだろうし、このまま見回りを続けておいてよ」
「はっ。副長はお部屋にお戻りですか?」
「うん。セリア様も部屋にいるしね……んじゃ」
俺はそう言って、手を振りながら彼らと別れて先に進んで行った。
◇
南館に入った俺は、そのまま階段を越えて二階に上がっていった。
本館や北館と違って、南館は廊下から直接外が見える場所がほとんどなく、その分扉の前などはしっかりと照らされていて、扉の前を守る女性兵たちの姿もはっきり見えている。
本館と北館を見てきたから、その違いがよくわかるな。
ともあれ。
「ただいまー」
彼女たちは俺が街に出て行ったのを知っているし、他と同じような対応をしなくてもいいとは思ったんだが……。
「っ!? …………セラ様でしたか」
俺が顔を覗かせながら声をかけると、一斉に武器を構えてきた。
むしろ彼女たちが一番攻撃的なくらいだ。
「……驚かせちゃったかな?」
俺の言葉に、彼女たちは武器を下ろすと「ふう……」と大きく息を吐いた。
「ええ……窓から出て行かれたので、てっきり同じルートで戻ってくるんだとばかり……」
「本部に寄ってたらつい癖で地下から戻って来ちゃったんだよね。ここに来るまでの間も散々驚かれちゃったよ……」
そう言うと、彼女たちは「そうでしょう」と笑っている。
「この時刻にセラ様が屋敷内を出歩くことはありませんからね……。お帰りなさいませ。もう部屋に戻られますか?」
「うん。丁度いい暇つぶしになったよ。……こっちは変わらないままかな?」
「ええ。来客も部屋の中の方々が出てくることもありません。異常無しです」
そう言うと彼女たちは扉をノックして、向こう側に俺が戻って来たことを報せた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・10枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




