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「…………寝ちゃったね」
セリアーナは「目を閉じているだけ」と言っているが、すぐに小さな寝息のような音が聞こえてきた。
横になったかと思うとすぐに眠ってしまったし、よっぽど負担が大きかったんだろうな。
「……とりあえず」
俺は体を起こしてベッドから降りると、【浮き玉】に乗ってドアに向かった。
セリアーナを起こさないように静かにドアを開けると、応接用のソファーに座っていたエレナたちがお茶をしていた。
「あら? どうしたの?」
寝室から出てきた俺を見て、二人は少し驚いたような表情を見せた。
着替えに行ったセリアーナならともかく、眠いから寝室に向かった俺が一人で出てきたらどうしたのかって思うよな。
「君だけ出てきたってことはセリア様に何かあった……ようには見えないね……」
セリアーナに何かあったのかと慌てて腰を浮かしかけたが、俺が全く慌てていないことに気付くと、またソファーに腰を下ろした。
「着替えの手伝いでもいるのかな?」
エレナは俺だけこちらにやって来たことを、セリアーナの着替えの手伝いだと思ったらしい。
あの服を着るのを手伝ったのはエレナだとしたら、アレが一人で脱ぐのは簡単じゃないってのもわかっているだろうからな。
「んーと……」
部屋の手前を見ると、俺の部屋で話をしていた時は出て行ってもらっていた使用人たちが戻ってきている。
セリアーナのイメージってものがあるし、彼女が寝落ちしたってことは隠しておいた方がいいよな……。
エレナの勘違いではあるけれど、それに乗っておこう。
「そうそう。オレだけだと難しくてさ。エレナを呼んで来てって言われたんだ」
「君だとアノ服は難しかったかな……。フィオさん、少し席を離れますね」
エレナは笑いながら立ち上がると、「行こう」と寝室に歩いて行った。
◇
「え?」
寝室に入ったエレナは、まず一言そう呟いた。
ベッドの中途半端な位置で仰向けになって眠っているセリアーナを見て、虚を突かれたんだろう。
隣室にいる者たちに気付かれないように、ドアを静かに閉めるくらいの冷静さは残っているが、ポカンとした顔をしている。
「よっぽど疲れてたみたいで、ベッドに横になったらすぐに寝ちゃったんだよね」
「め……珍しいね。とりあえず……位置を整えないと落ちちゃうね」
エレナはそう言うとセリアーナを抱き上げて、ベッドに真っ直ぐに寝かせる。
さっきまでベッドの上に斜めになるように寝ていたから、片足はベッドから落ちていたし、ちょっと寝返りを打ったら体ごと落ちかねなかった。
これで一先ずその心配はなくなったな。
「よかったよかった。オレがどうにかしようとするなら、尻尾とかで抱え上げないと無理そうだったからね」
「それだと起こしちゃうだろうね……。わざわざごめんね? 君も疲れているだろうに……」
エレナはセリアーナに布団をかけながら苦笑している。
「別にいいよ。びっくりはしたけどね。……それよりも、セリア様どうしよう? 起こす?」
エレナを連れてきたのは、セリアーナの体勢かえるためだけじゃない。
彼女をどうしたらいいか判断してもらうためでもある。
このまま寝かせていても全然いいんだが、着替えるためにこっちに来たのに眠ってしまう……ってのは、使用人たちがどう反応するかわかんないんだよな。
「向こうに使用人たちがいるから気を使ってくれたんだね? 私の方から適当に伝えておくから大丈夫だよ」
エレナの言葉に「そっか」と答えると、俺もベッドの上に下りていき、恩恵品を全て外して枕もとのケースに収めると布団に潜り込んだ。
寝る準備は完了だな。
その俺の姿を見て、エレナが笑いながら話しかけてくる。
「私たちは今日は夜まで向こうにいるから、ゆっくり休むといいよ」
エレナはそう言って立ち上がると、ドアに歩いて行く。
俺はその彼女に「おやすみー」と布団の中から、手を振りながら声をかけた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・10枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




