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何人かに分かれて食べていたアレクたちの班と違って、ジグハルトの班は同じタイミングで集まったこともあって、一階の会議室代わりの大きな部屋で食事をとることになった。
アレクたちは、ジグハルトたちが宿舎に帰って来てすぐは一緒に一階にいたんだが、二言三言話すとすぐに二階に戻って行った。
俺も一緒に二階に戻ってもよかったんだが、ジグハルトに「お前もどうだ?」と誘われて、そう言えば食事がまだだったなと思い、そこに交ざって一緒に食べることにした。
そして、用意された食事を見たんだが……その時点で「もしかして、ここの料理は味がイマイチなんじゃ……」と怪しい物を感じた。
とは言え、折角用意してくれたものだし……見ただけで味を決めつけて口を付けないのは失礼だよなと、口に入れてみたんだが、見た目から想像出来る味とほとんど差が無かった。
よくよく考えてみたら、こんな辺境の小さい拠点じゃ、領都や他の主要な街に比べると料理の味は大分落ちるのは当然だ。
先程軽く上空から見た感じだが、この拠点にはまともな料理専門店はないようだし、専門の訓練を受けた料理人はいなくて、料理を出来る者が兼任しているんだろう。
流石にここの宿舎の料理人は違うようだが、それでも不味いとまではいかないが、味が濃いだけって印象だ。
俺が昔碌に調理器具も調味料も無い状況で作った物に比べたらまだマシだが、それでもな……。
ここの住民も滞在する者も、大半が肉体労働みたいなもんだし、味付けの方向性としてはそこまで間違っていないんだが……皆が酒を欲しがる理由はちょっとわかったな。
これが数日ならともかく、当初の予定よりも長期の任務になったし、毎食こんな感じじゃ士気の低下に繋がりかねない。
領都から料理人を引っ張って来るのは無理だが、商隊が運んでくる荷物に調味料なりなんなりを少し追加してもらうのは可能だし、それでちょっとはマシになるかもしれない。
帰ったら伝えてみるか。
◇
さて……食事も済ませて、俺たちは二階に移動をした。
食事も終えたし皆のんびりするのかな……と思ったんだが、どうやら違うらしい。
ジグハルトの班の兵も先程部屋に戻って休んでいたアレクの班の兵も、皆広間に集まって武具の手入れを始めている。
「……今やるの?」
大勢で集まってワイワイ喋りながら手入れをする彼らを見て、「疲れてないの?」と訊ねると、揃って「疲れているぞ」と返してきた。
「疲れてはいるが手入れは今日中に済ませておかないと、すぐに傷んじまうしな……」
「一日二日でどうにかなるほど出来の悪い物は使っていないが、こういうのは習慣みたいなもんだし、やれるうちにやっておかないとな……」
他の者も似たようなことを言っては、「はあ……」と溜め息を吐いている。
そして、一瞬広間が静まったかと思うと、視線が俺に集まった。
「姫さんは楽でいいよな……」
「そうだな。アンタの恩恵品だと手入れなんかいらないんだろう?」
「確か加護で雨や埃も弾いているんだよな?」
そんなことを、口々に言い始めた。
俺に向かって愚痴を言うなんて珍しいな……と思うが、それだけ疲れているのかもしれない。
突っ込んだりせずに、「大変だねー……」と聞き流していた。
「そう言えば、ジグさん。そちらはどうだったんですか? 何度かデカい魔法の音がしていましたが……セラからも軽くは聞いていますが、そんなに厄介なのがいましたか?」
俺たちの話が一段落つくのを待っていたのか、アレクが口を開いた。
調査隊の兵たちだけじゃなくて、隊長格のアレクとジグハルトもしっかりとこの場に参加して、武具の手入れは自分で行っている。
この場で何もしていないのは俺だけだが……それはともかく、アレクたちはそれぞれの今日の調査結果についての話を始めている。
俺は何度か行ったり来たりしていたから大体のことは把握出来ているが、皆は無理だもんな。
先程まで互いに愚痴りながらアレコレ話をしていた兵たちも気になっていたんだろう。
黙って二人の話を聞いていた。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・10枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




