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森の中を走り始めてしばし。
そろそろ森の外に出そうな位置まで来たんだが、未だに戦闘音は聞こえてこない。
森の中を移動していた時は距離があったし、その間に戦闘が行われていたのなら聞き漏らした可能性はなくもないが、アレだけジグハルトが警戒していた魔物だ。
そんな静かに倒せる相手とは思えないし、まだ膠着状態が続いているのか……と、ジグハルトの状況を皆で話しながら考えていたんだが。
「待ってっ!!」
お喋りをしていた俺が唐突に張り上げた声に、隊の全員が足を止めて一斉に武器を構えた。
「どうしたっ!?」
「敵か?」
周囲を警戒しながら、皆は口々に声を上げるが……どうやらこの感じだと彼等はまだ気づいていないみたいだ。
「この先に魔物が一体いるよ。多分カエルもどき。んで、ジグさんが森のすぐ手前まで下がって来てる」
集まって来た皆にそう報告すると、彼らは揃って怪訝な顔を見せた。
「……ジグさんがか? 戦闘の気配は感じなかったが?」
「ああ……それに、その魔物には気付いていないのか? この先にいるんならジグさんからも距離はそう離れていないだろう?」
「そうだね。狙える位置だけど、それで手を出していないのなら……まだ放置しているだけなのかもね」
偵察に向かった方がいいのかもしれないが……。
「どうする? 副長が先行するか?」
「うん……いや、このまま皆と移動するよ。ジグさんが何か考えがあるのかもしれないし、下手に動いて魔物を刺激したくないからね」
一撃で倒せるかはともかく、ジグハルトなら迎撃するくらいはわけなく出来るだろうし、状況を把握出来るまでは下手に手を出さない方がいいだろう。
俺の言葉に、皆は「そうだな……」と頷いた。
「普通の魔物ならすぐにオレが見つけられるとは思うけど……カエルもどきがいるのが気になるし、広がって移動するのは止めた方がいいかもね」
「わかった。それなら……このままでいいな?」
今までは隊の両端は二十メートルくらい離れていたんだが、捜索には都合が良くても、静かに移動するのには向いていない。
話をするために集まったんだが、丁度いいしこのままで移動してしまおう。
俺が頷くと、ここまで先頭を走っていた兵が引き続き前に立ち、「行くぞ」と出発した。
◇
移動を再開してから数分。
初めは真っ直ぐ向かっていたんだが、途中からカエルもどきやジグハルトの真後ろに出ないように、進路を少し横にずらしていた。
「そろそろカエルもどきの横に入りそうだね。速度を落として」
「わかった」
先頭に声をかけると、彼は腕を上げて合図をして速度を小走り程度に落としていく。
「もう森を出る所だが……カエルもどきは移動しているのか?」
「少しずつ前に進んでるね。ジグさんの方に変わりは無いけど……一の森に潜んでた魔物は森から出て来てるよ」
カエルもどきの様子を訊ねてきた兵に、ついでに森の外も一緒に伝えた。
「確か森の奥にまだ群れがいるんだよな? ……そいつらを釣り出すために下がったのか?」
「ここからだと一体しか見えないね……。ただ、ジグさんの様子に変わりは無いし、戦闘があったようには見えないかな」
「どうする? このまま外に出るか? それとも横を突くか?」
兵の提案に、俺は「そうだね……」と呟くと、周囲を見回した。
もう森の外まで百メートルも無い。
皆で外に出てジグハルトと合流するのもいいし、裏を取られるのは嫌だから、カエルもどきを俺たちで仕留めるのも悪くは無い。
まだジグハルトの魔力の範囲内には入っていないが、この人数で動けば気付くだろうし、それなら森の様子も予測は出来るだろう。
だが……。
「カエルもどきの相手はオレが引き受けるから、皆はこのまま外に出てジグさんと合流してよ」
ジグハルトの方が人手が必要になるだろうし、今回はこっちの方がいいよな?
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・9枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




