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アレクたちの方に伝令を送るか、そのままにするか。
普段だったら、俺が直接出向けばすぐに解決することなんだが、今日はちょっと事情が違うしな。
ってことで、どうしたもんかと悩んでいたが、考えが纏まった。
顔を上げて「……よし」と呟くと、それまで律儀に黙って待っていた兵たちが話しかけてくる。
「お? 決まったか?」
「一応伝令役だと適任はアンタなんだが……」
俺は何故か不安そうな顔をしている兵の言葉を遮ると口を開いた。
「わかってる……オレはこのまま皆と行動するから、オレの班の四人で行ってもらえるかな? コッチはもう森では何も起きないと思うけど、向こうはまだわからないしね」
俺は「いいかな?」と四人に顔を向けると、揃って頷いた。
「向こうに合流したら、後はアレクの指示に従ってもらえるかな? 戦闘になるとしても、あんまり派手なことになるとは思えないけど……それでも、こっちより人手がいるだろうし、多分合流することになるだろうね」
「わかった。ここからだと……副長、方角はわかるか?」
森の中だしな。
一旦北の拠点に戻ってからって手もあるが、大体の方角がわかれば真っ直ぐ向かうことも出来るだろう。
確かめて来るか。
「ちょっと待ってね」
俺は一言断ってから上昇する。
森の上空まで出た俺は、一先ずこの場から西側を見ていくが……すぐに一本の煙が上がっているのが目に入った。
「おや? アレは……狼煙じゃないよね? アレクたちかな?」
呑気に焚火をしているってことは無いだろうけれど、向こうは俺がいないし、集合場所として拠点を作っていておかしくはない。
この雨の中じゃ自然発火なんてしないだろうし、してもすぐに消えてしまうだろうから、人為的なものに違いは無いだろう。
とりあえずあそこの位置を覚えておけばよさそうだな。
後はどこを見ておいたらいいかな……。
◇
「ただいま。見て来たよ」
一しきり上空からアレクたちがいるであろう方向を確認して、今度はその情報を皆に身振りを交えながら説明した。
「距離があるから流石にアレクたちの姿は確認出来なかったんだけど、煙が上っている場所があったから、多分そこを捜索の拠点にしてるんだと思うよ。方向はアッチだね」
「捜索拠点か……それなら向こうも少数に散って行動しているのかもしれないな。わかった」
「それと、その途中にあんまり強く無いけど魔物が何体かいたから気を付けてね。一応……ほっ!」
四人と、ついでに隊の皆にも効果が出るように【祈り】を発動した。
「おう、悪いな!」
四人はそう言うと、俺が指した方に向かって走っていった。
彼らの姿が森の奥に消えて見えなくなったところで、俺は手をパンと叩いた。
「…………よし! それじゃー、俺たちも出発しようか?」
「ああ。戻りは周囲の捜索は必要無いよな?」
「うん。今更何か見つかるとは思わないし、離れた位置にいる魔物も襲ってきたりはしないからね。さっさと走り抜けちゃおう」
「おう。先頭は俺が入るから、アンタは中央を頼む」
何時でも俺が援護に入れる、よくある隊列の組み方だな。
俺が「はいはい」と答えると、彼は「行くぞ!」と大声で指示を出して走り出した。
◇
さて、森の外に向かって皆で移動を開始した。
足場は良くない上に魔物も生息している森だし、本来は気を抜いていい場所じゃないんだが、既に通って来た道を引き返しているだけだし、お喋りする余裕があったりもする。
「そういえばさ、オレが合流する前に何か揉めるというか……もたついてたけど、アレは何が理由だったの? あれ以降は全然そんな素振りは無かったけど……」
初めは冒険者主体の俺の方の班を組み込んだから、何か方針が違ったりで揉めでもしたんだろうか……と思ったけれど、合流以降は別に上手くやっていた。
かといって、誰かの能力が足りなかったり、揉めごとを起こすような者がいるってわけでもないし、何か理由があったんだと思うんだよな?
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・9枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




