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「そんで? この印が付いた場所を見て回ればいいのかな?」
広げた地図を眺めながらオーギュストの説明を待っていると、オーギュストは頷きながら、もう一枚別の地図を取り出した。
そして、その地図の上にサラサラとペンを走らせていく。
「もう一つの方には、アレクシオ隊長たちへの報告書と指示書が同封している。これと併せて彼らに見せて欲しい」
一通り書き終えたのか、オーギュストはペンを置いた。
「ふむふむ……これは……街道の見回りの計画か何かかな?」
地図には新たに、どこにどの隊をどれだけ移動させる……とか、どこに止まらせる……とか書いている。
ただ、それが何時のことなのかは記されていないが……。
「今日やるの?」
俺の疑問にオーギュストは首を横に振った。
「いや、それは流石に無理だ。早い方がいいんだろうが、今は天候が悪い。なにより人手が足りない」
「……なるほど。雨季が明けてからってことだね」
「そうだ。詳しい内容は指示書に記されているが……昨日仕上げたものだからな。まだ状況次第で指示の内容が変わるかもしれない。そのことも伝えておいて欲しい」
「うん、了解。……でも、その言い方だとアレクたちはまだ向こうに行ったままになるのかな?」
本来は昨日一日で全部片づけてくる予定だったのに、思ったよりも長く街を離れることになりそうだ。
大丈夫なのかな……と思っていると、オーギュストは「大丈夫だ」と頷いた。
「ジグハルト殿は元々一の森の拠点に出向する予定だったし、アレクシオ隊長にしても、雨季の間は二番隊の活動は多くないからな。例年通りなら後一週間も経てば雨が上がるだろう。それくらいの期間なら私が指揮をとれば問題は無いだろう」
「……ほぅ。まぁ……テレサはちょっと忙しそうだけど、リック君もいるし、この時期ならそれでも大丈夫か」
「そう言うことだ。他に聞きたいことは?」
「もう無いかな? それよりも……なんか手の込んだ連絡の仕方だったからどんなことを話すのかと思ってたけど……思ったより普通のことだったね。これくらいなら別に屋敷内で漏れたとしても構わなかったんじゃない?」
とりあえず、領都にとって大きなことと言えば、アレクが戻ってくるのが遅れるってことくらいだよな?
オーギュストまでいない状態だと、流石にそのうち手が回らなくなりそうだけれど、彼が戻って来たのならしばらくの間は問題無く機能するだろう。
慎重になるのは悪くないが……と首を傾げていると、オーギュストが苦笑しながら答えた。
「今後の領内の警備体制などについても記しているからな。それに、向こうに渡す指示書の方が重要だ。もっとも、それは私たちにとってでは無くて、商人にとってだがな。これ以上街を騒がせたくなかったから、伏せておきたかったんだ」
「なるほど……いまいちよくわかんないけど、コッチを持って行けばわかるんだね」
アレクたちへの指示書が入った封筒を軽く持ち上げて見せると、オーギュストは「そうだ」と頷いた。
肝心のその内容については何も言わないし、俺もここで聞くのは止めた方がよさそうだな。
まぁ……部屋の雰囲気から、そこまで切羽詰まった内容って感じはしない。
アレクたちに渡してから一緒に見たらいいか。
「よし……とりあえず、これで話は終わりだね? それじゃー行って来るよ」
「ああ。君に限って外の移動で危険は無いだろうが、まだ街道に魔物が出てくるかもしれない。気を付けてくれ」
「はいはい」
オーギュストに適当に返事をしながら、封筒と地図をポーチに詰め込むと、部屋を後にした。
◇
領都を出発してから、街道を北に向かうこと数十分。
ここまでは街道上や周囲の森の様子を見てはいるが、時折森の端に小型の魔物や獣の姿はあるものの、強力な魔物が森から出て来ているようなこともなく、普段の森のままだ。
だが、そろそろ昨日戦闘を行った場所が見えてくる頃だ。
【緋蜂の針】や【影の剣】を発動して、いつでも戦闘に移れるように準備をすると、【浮き玉】の高度を下ろして現場に近づいて行った。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・9枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




